明治安田生命J2リーグ第24節のジェフユナイテッド千葉戦で、リーグ戦16試合ぶり、実に約3か月ぶりとなる白星を挙げた大宮アルディージャ。決勝ゴールは試合終了間際の90分、セットプレーからの浦上仁騎のヘディングシュートを千葉GK新井章太がファンブルしたところを、アンジェロッティが猛然とラッシュし押し込んだもの。その起点となるフリーキックは、三幸秀稔が送り込んだ。
「ちょっと遠いなと思って、けどオーバーだけはいけないと思っていたら、思ったより短くなった」
そこに、やや遅れ気味に入っていってしっかりと合わせた浦上の見事なヘッドを称えた。
「仁騎自身、千葉のラインが下がるのは早いし深いと考えていたみたいで、(ボールが)ちょっと手前になるんじゃないかとも思っていたそうです。それが仁騎の能力というか、本当に仁騎には感謝しています」
貴重な決勝点を生み出したキックだったが、三幸の大宮でのここまでは、不遇とも言えるかもしれない。恩師である霜田正浩元監督(現松本山雅FC監督)に誘われる形で2022年に大宮に移籍し、開幕から先発メンバーに名を連ねたが、監督交代もあって出場機会は激減。今季はコンディション面で出遅れ、第12節アウェイ千葉戦でシーズン初出場となるも、それ以降も試合へのチャンスはなかなか訪れなかった。
「監督に求められたことにプラスアルファしていかない限りはいい選手になれない。今は少しずつですけど自分のストロングポイントを出せる環境下になってきているので、あとは結果ですね。まず1つチャンスは作れたんで、これからもっとできるように頑張りたいです」
まだまだチームは苦境から抜け出せない。補強の話も出てきているが、前提として既存の選手の奮起がなければ話にならない。そこは三幸自身も自覚しているところだ。
「元々出ていた選手が出られなくなるとか、新しく入った選手が活躍するとか、競争がないと強いチームになっていかない。なかなかそのパワーを与えられていなかった僕たちサブ組に、足らない面があったのかもしれませんが、今はこうやって選手がどんどん入れ替わって、今まで出ていた選手もまたがむしゃらに練習しています。これでこの夏場にどれだけ盛り返せるか、それがかなり今後に関わってくると思います」
試合後には、「三幸がいるとなんかうまく回るよね、でいい」と話すことが多いが、それだけでは物足りない。チームの成績に直結するような得点に絡むパスが増えていくことを、期待せずにはいられない。
Reported by 土地将靖