1試合9ゴールなど一時は爆発的な得点力を見せていた清水が、直近4試合ではわずか3得点。「(監督交代による)ブースト効果が切れた」という声もちらほら聞こえ始めている。はたして本当にそうなのだろうか。
4月に秋葉忠宏監督が指揮を執り始めてからの8試合は、6勝2分、29得点/4失点。19位から5位までジャンプアップする快進撃を見せた。ついに本来の力が解放されたかと思えたが、16節の千葉戦で新体制での初黒星を喫した後の7試合は、2勝1分4敗、7得点/7失点。前節・秋田戦では18本ものシュートを放ちながら決めきれずに秋葉体制ではホームで初めて敗れ(0-1)、サポーターから厳しいブーイングを浴びた。
なかなか得点が入らない理由は、世界中の監督が「それがわかれば苦労しない」と首を振るところだが、それを前提に秋田戦後の会見で秋葉監督の考えを聞いてみた。
「ゴール向かう姿勢とか最後の最後まで圧力をかけ続けたというところは、今日も素晴らしかったと思います。ただ、それでも入っていないという現状は、ちょっとした気持ちの余裕なのか、それとも執念・執着みたいなものなのか……。ただ足りないことは間違いないと思うので、メンタリティ、技術、駆け引き、判断力、アイディア、落ち着きみたいなもの全てを含めて、もう一つ上に持ってこられるように、また全員で集中してゴールへ向かうことに集中してやりたいと思っています」
監督としては他に答えようがないし、秋葉監督らしい誠実な言葉だと感じた。実際、秋田戦でも後半は決定機を何度も作れており、最後のシュートにもう少し精度や落ち着きがあれば、ゴールネットを揺らせていたはずだった。そして1点決まれば、2点目も取れそうな雰囲気はあった。
直近4試合のシュート数を見ても、山形戦は20本で1点、熊本戦は10本で1点、群馬戦は22本で1点。熊本戦こそ相手に主導権を握られてシュート数も減ったが、他の3試合では平均20本打てている。だから、ひとつきっかけをつかめば次々と……いわゆる「ケチャドバ」が起こる可能性もあるが、いずれそうなるだろうと呑気に構えていて良いわけではない。
なぜなら、決定機の質――どれほど決定的だったかという面においては十分とは言えず、3人以上が関わった連携で崩すという面でも改善の余地があるからだ。そこは秋葉監督が言う通りあらゆる面を向上させて、決定機の質と回数を上げていくしかないだろう。
チームの精神的な支柱である在籍年数最長の竹内涼は、次のような一面も必要だと語る。
「点を取るために何をすべきかというのは、さらに追求していくんですけど、あまり力を入れすぎても……力が入れば入るほど(シュートが)枠に入ってくれないというのは、経験としてすごくあります。だから、よりゴールを奪うのを楽しみながら、取らなきゃじゃなくて、取りたくて取りたくてたまらないというチームになりたいというのはあります。一つのボールをゴールに入れるのに、いろんな人が犠牲にならなきゃいけないですけど、それをも楽しんでいくことが必要かなと思います」
たしかに好調な時期は、相手を崩すこと、点を取ることを楽しめていたムードがあった。味方が点を取るために自分が犠牲になることを喜ぶ意識も見えていた。ただ、それを取り戻すにもきっかけは必要だろう。
それに向けて、サイドバックながら3得点を決めている北爪健吾は、彼のプレーと同様に前向きさを一切失っていない。
「(秋田戦の試合後に)ゴール裏に挨拶しに行ったときもずっと(スタンドを)見ていたんですけど、いろんな声があって、選手と同じぐらい悔しい思いをしていることがすごく伝わってきましたし、このチームにいる価値というのをあらためて感じました。だからこそ、もう1回盛り上げて(サポーターを)巻き込んで、このチームの素晴らしいところをもう1回引き出したいと心から思った瞬間でもありました。僕自身は本当に調子が良いし、もっと良いプレーを見せられると思うので、長崎戦からまた大活躍したいですし、ぜひ期待してほしいです。エスパルスの試合に出られる幸せや責任を感じながら、その期待に応えたいと思います」
秋葉監督も「昇格をあきらめている選手は誰一人いません」と断言する。勝点6差で4位の長崎との対戦は、ひとつきっかけをつかむという意味では絶好の舞台となる。エスパルスを応援する喜びをサポーターが実感できるようなプレーや心意気を、アイスタで存分に表現すること。それが苦境を脱するためにも何より重要なのではないだろうか。
Reported by 前島芳雄
4月に秋葉忠宏監督が指揮を執り始めてからの8試合は、6勝2分、29得点/4失点。19位から5位までジャンプアップする快進撃を見せた。ついに本来の力が解放されたかと思えたが、16節の千葉戦で新体制での初黒星を喫した後の7試合は、2勝1分4敗、7得点/7失点。前節・秋田戦では18本ものシュートを放ちながら決めきれずに秋葉体制ではホームで初めて敗れ(0-1)、サポーターから厳しいブーイングを浴びた。
なかなか得点が入らない理由は、世界中の監督が「それがわかれば苦労しない」と首を振るところだが、それを前提に秋田戦後の会見で秋葉監督の考えを聞いてみた。
「ゴール向かう姿勢とか最後の最後まで圧力をかけ続けたというところは、今日も素晴らしかったと思います。ただ、それでも入っていないという現状は、ちょっとした気持ちの余裕なのか、それとも執念・執着みたいなものなのか……。ただ足りないことは間違いないと思うので、メンタリティ、技術、駆け引き、判断力、アイディア、落ち着きみたいなもの全てを含めて、もう一つ上に持ってこられるように、また全員で集中してゴールへ向かうことに集中してやりたいと思っています」
監督としては他に答えようがないし、秋葉監督らしい誠実な言葉だと感じた。実際、秋田戦でも後半は決定機を何度も作れており、最後のシュートにもう少し精度や落ち着きがあれば、ゴールネットを揺らせていたはずだった。そして1点決まれば、2点目も取れそうな雰囲気はあった。
直近4試合のシュート数を見ても、山形戦は20本で1点、熊本戦は10本で1点、群馬戦は22本で1点。熊本戦こそ相手に主導権を握られてシュート数も減ったが、他の3試合では平均20本打てている。だから、ひとつきっかけをつかめば次々と……いわゆる「ケチャドバ」が起こる可能性もあるが、いずれそうなるだろうと呑気に構えていて良いわけではない。
なぜなら、決定機の質――どれほど決定的だったかという面においては十分とは言えず、3人以上が関わった連携で崩すという面でも改善の余地があるからだ。そこは秋葉監督が言う通りあらゆる面を向上させて、決定機の質と回数を上げていくしかないだろう。
チームの精神的な支柱である在籍年数最長の竹内涼は、次のような一面も必要だと語る。
「点を取るために何をすべきかというのは、さらに追求していくんですけど、あまり力を入れすぎても……力が入れば入るほど(シュートが)枠に入ってくれないというのは、経験としてすごくあります。だから、よりゴールを奪うのを楽しみながら、取らなきゃじゃなくて、取りたくて取りたくてたまらないというチームになりたいというのはあります。一つのボールをゴールに入れるのに、いろんな人が犠牲にならなきゃいけないですけど、それをも楽しんでいくことが必要かなと思います」
たしかに好調な時期は、相手を崩すこと、点を取ることを楽しめていたムードがあった。味方が点を取るために自分が犠牲になることを喜ぶ意識も見えていた。ただ、それを取り戻すにもきっかけは必要だろう。
それに向けて、サイドバックながら3得点を決めている北爪健吾は、彼のプレーと同様に前向きさを一切失っていない。
「(秋田戦の試合後に)ゴール裏に挨拶しに行ったときもずっと(スタンドを)見ていたんですけど、いろんな声があって、選手と同じぐらい悔しい思いをしていることがすごく伝わってきましたし、このチームにいる価値というのをあらためて感じました。だからこそ、もう1回盛り上げて(サポーターを)巻き込んで、このチームの素晴らしいところをもう1回引き出したいと心から思った瞬間でもありました。僕自身は本当に調子が良いし、もっと良いプレーを見せられると思うので、長崎戦からまた大活躍したいですし、ぜひ期待してほしいです。エスパルスの試合に出られる幸せや責任を感じながら、その期待に応えたいと思います」
秋葉監督も「昇格をあきらめている選手は誰一人いません」と断言する。勝点6差で4位の長崎との対戦は、ひとつきっかけをつかむという意味では絶好の舞台となる。エスパルスを応援する喜びをサポーターが実感できるようなプレーや心意気を、アイスタで存分に表現すること。それが苦境を脱するためにも何より重要なのではないだろうか。
Reported by 前島芳雄