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【取材ノート:琉球】チームの底上げ必至の状況に、23歳・白井陽斗が存在感放つ

2023年5月13日(土)


天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会の本戦出場をかけた沖縄県大会決勝が7日に開催。J3リーグのFC琉球が2-0でJFL所属の沖縄SVに勝利し代表権を獲得した。

頂点をかける一戦は前半風下に立ちながらも琉球がボールを握る展開。そこからなかなかフィニッシュにつなげられないことの多いリーグ戦とは異なり、この日の琉球は今季加入のFW白井陽斗をはじめとする若手選手が躍動感を見せ、積極的にシュートを放つと後半開始直後、キャプテンの野田隆之介が先制点を奪い突破口。それから約10分後、今度は岩本翔のグラウンダーの左クロスに対し、一気にゴール中央まで駆け上がった白井がドンピシャのタイミングで合わせ追加点をあげることに成功した。リーグ戦では先制してもなかなか次の1点を奪いきれないことが多い中、点差をつけるこの2点目がチームにとっても決めた当人にとっても価値あるゴールとなった。

「リーグ戦では(3勝1分5敗と)なかなか勝ちきれていないんですが、天皇杯で勝てばチームの嫌な流れを変えるキッカケになると思っていました。個人的にも久々にスタートから出て、絶対に結果を残してやるという気持ちだけを求めてました」と話した白井は、「いつかボールが来ると信じていた」と自身が決めた2点目のゴールを振り返った際、信頼を寄せていた選手の名を明かした。「本当に(岩本)翔から良いボールが来た。練習通りだったし、あとは触るだけでした」。

ゴールをお膳立てした岩本とは共にガンバ大阪ユースで一緒にプレーしていた仲。2コ下の後輩のアシストに「練習から息の合ったプレーが出来ているなと実感している」と、白井はその相棒の存在が頼もしかったに違いない。

一番相手を怖がらせるプレーとなるシュートの数は野田と同数の4本で、そのうち1本がゴール。さらに2本はポストに直撃するなど際どいシュートであったが、この日のプレーの切れ味は素晴らしいものだった。それでも「本当は3点狙えたんですけど…試合後みんなに『絶対に(ハットトリック)いけたって』と総ツッコミを受けました」と苦笑い。「もっとチャレンジして、チャンスの回数を増やしてゴールを重ねていきたいです」と、確かな手応えを得た白井は気持ちを再びリーグ戦へと切り替え、結果を残したい一心である。

23歳の白井を含め、普段なかなか試合に絡めていない若手選手を中心に「絶対に結果を残してやる」という強い気持ちで臨んだ今回の天皇杯。リーグ戦の結果を見てもチームの底上げが必至の状況下、選手もチームも手応えつかむ優勝となった。

Reported by 仲本兼進