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【取材ノート:琉球】チームの和を重んじるケルヴィンが魅せたスーパーゴール

2023年4月21日(金)


Jリーグは4月18日、2・3月度の「2023明治安田生命Jリーグ KONAMI 月間ベストゴール」を発表し、明治安田生命J3リーグ部門でFC琉球のブラジル人FWケルヴィンのゴールが選ばれた。チームの月間ベストゴール選出は、2020年11月にFW阿部拓馬が獲得したとき以来2人目となる。


左サイドからボールを受けたとき、「難しいことをいかに簡単にできるかを考えた」ケルヴィン。このとき背後には八戸の選手がしっかりとマークについていて、前を向けない状況。しかしリフティングで剥がし、さらに迫ってくる相手DFもとっさの判断でうまくかわすと目の前にはオープンスペースが。「パスを送ることもできたけれど、自分でフィニッシュにつなげたほうがチームのためになる」と考えた彼は、生まれたシュートチャンスを逃してなるものかと間髪入れずにミドルシュートを選択。低い弾道でスライドしたボールは、ゴール右隅に突き刺さった。

「難しいことを簡単にする」ことを常に考えていると話す。それは、攻撃においてどこでボールを受けるのかというところ。ケルヴィン曰く、ピッチには自身がプレーする上でチャンスを生み出せるエリアと、ボールをコントロールしづらいエリアが所々に混在していて、いかに優位の場所でプレーできるかを逆算しながら動いているという。たとえ相手が自分の入り込みたいエリアを埋めていたとしても、アジリティーを生かして相手を動かしエリアを生み出す。その考えを抱くケルヴィンは試合中足を止めることはない。そしてゴールシーンは、自信を持って足を振り切れるペナルティーアーク付近から生まれた。迷わず打ったシュートは、3月の明治安田J3ベストゴールに選ばれるほどのインパクトを与えてみせた。

巧みな個人技で奪ったゴールは倉貫琉球の今季初勝利を呼び込むものとなった。ただ本人は「このゴールはチームで奪ったもの」と答える。それは「トレーニングから僕がどんなボールを欲しがっているのかを仲間と共有できていたし、僕が中央にいようがサイドにいようが与えられたポジションで自分がクリエイティブさを100%出すことを常に考えている。それがチームのためになるし、その瞬間僕に期待をしてくれていると感じ取ったからこそ自信を持ってシュートを打ちました」と、ケルヴィンは練習で深めたコミュニケーションが「ゴラッソにつながった」と強調した。彼なら何かやってくれそうな雰囲気をチーム全体が感じ取ったのもケルヴィンの信頼感があるがゆえ。それが奇跡のゴールにつながった。

第7節を終え、チームは3勝3敗1分。途中3連敗を喫するなど荒波も体感した。

「僕らは常に上を気にしなければいけない。今年何を今目指しているのかは明確。絶対にJ2リーグに昇格するため任務を果たし、チームのためになりたい」

ケルヴィンは常にチームファーストの精神を抱きながら、サポーターの応援にこたえるプレーを演じきってくれるはずだ。

Reported by 仲本兼進