待望の、そして安堵の一発だった。
明治安田生命J2リーグ第8節、大宮アルディージャ対モンテディオ山形戦。1-1のタイスコアで迎えた試合終盤の79分、室井彗佑が、そして小島幹敏が倒されて大宮にペナルティキックが与えられた。
勝ち越しの懸かった大事な場面。ここで重要なタスクを課されたのは柴山昌也だった。
「1番手はトミくん(富山貴光)で2番手が自分で、トミくんが交代していたので必然的に自分が蹴る形になりました。監督から毎試合、キッカーは誰、その人に何かあったら次は誰、みたいに言われるんですけど、今日初めて(自分が)言われていて、そうしたらもう(蹴るチャンスが)来て、最高です」
これが自身の今季初ゴールとなった。ここまで全8試合に先発出場しているアタッカーとしてはいささか遅い感もある。それは何より自分が意識していた。数試合前から、試合後には必ず得点への意欲を、いや、執着を口にしていた。それだけに、たとえPKと言えども大きな1点となった。
「ボールがネットに触れる感覚とか、サポーターが喜んでる姿とかを再確認できて、また少し心の中でほっとした部分がありました。ちょっとやりやすくなったかなって感じです」
キックの直前には、左胸のクラブエンブレムを右手で握りしめた。
「サポーターを見たら、1人で蹴るんじゃないなと思って、大宮のために蹴ろうと思いました」
そうした思いの重みが、相手GKの伸ばした手を弾き飛ばしたのかもしれない。今季のホームでの強さの一端を垣間見られた場面でもあった。
この試合では、今季ここまでの最多となる4本のシュートを放った。前線に小島が入る現在の布陣は「やりやすいです」と歓迎している様子。アンジェロッティ不在の現状に、得点力アップは急務だ。相手にとって本当の意味で怖い存在へ、変わるきっかけとなってほしい。
Reported by 土地将靖