9ゴールを挙げた昨年は、愛称の「インディオ」でプレーしたが、今年は本名のマルクス ヴィニシウスとしてメンバーリストに名を連ねる。番号は33番から、クラブに『着けたい』と直訴した10番に。今治で2年目のシーズン。登録名と背番号を変えて、気持ちも新たに戦いに臨む。
ブラジル国外でプレーしたいという夢を実現させた昨季、チームは5位に終わり、J2昇格には届かなかった。それでも得られた手ごたえは確かなもので、今季に懸ける思いは強い。それを新しい名前と番号に込めている。
ポジションも新しくなった。昨季は主に右サイドハーフとして、得意のドリブルを生かして攻撃をけん引。カットインして利き足の左から放つ強烈なシュートは、チームにとって大きな武器の一つだった。
今季は2トップの一角を担う。体の強さを生かし、相手を背負ってもボールを失わず、周囲を生かすポストプレーは、すでにチームを活性化させている。ここまでノーゴールなのは気になるところだが、昨年も初ゴールは15節の岐阜戦(〇5-0)と時間が掛かった。
「今年最初のゴールは自分も待っています。去年も最初は難しかったけれど、1点決めたら今年も絶対に何点も取れると思う。よりリラックスしてシュートを打ちたいですね」
力みすぎずにゴールを狙うためには、FWの仕事にさらに慣れる必要があると感じている。相手を背負ったところから前を向く。落として、動き直してボールを受ける。プレーのバリエーションが増えれば、それだけチームの攻撃も躍動する。
第6節・FC大阪戦では初めてキャプテンマークを着けて、先頭で入場した。試合が始まると、相手を背負うだけでなく、前線から落ちてきてボールを引き出すなど、動きの工夫も見られた。しかし試合は三門雄大のゴールで先制しながら、今季J3に参入した相手の勢いに飲み込まれる形で逆転負け。今季初めて黒星を喫した。
悪い流れに陥らないために、今こそ存在理由を示したい。もともと、そのプレーには勝利を目指す強い意志と責任感にあふれていた。10番を背負い、副キャプテンを務め、新たな愛称の「ヴィニ」で仲間から呼ばれるレフティーは、いっそうチームを引っ張る自覚を強めているに違いないからだ。
Reported by 大中祐二