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【取材ノート:清水】伝統のクラブを過去最大の窮地から立て直すことができるのか。熱血・秋葉忠宏監督が掲げる「超アグレッシブ」の真意とは

2023年4月6日(木)
1年でのJ1復帰を誓う清水エスパルスが、J2リーグ開幕から7試合でまさかの未勝利。5分2敗で19位という窮地に陥った中で、4月3日(月)、クラブはついにゼ リカルド監督の解任という決断に踏み切った。
これで5年連続のシーズン途中での監督交代。その原因を究明することは欠かせないが、まずは早くチームを立て直して昇格に望みをつなぐことが重要であり、それを託されたのがコーチから昇格した秋葉忠宏新監督だ。

昨年まで3年間水戸を率いてきた秋葉監督は、群馬時代(2013~14年)も含めてJ2経験が豊富で、今季の新体制発表会見では「元気があれば何でもできると思っている秋葉です」と語るなど、数々の熱い名言でも知られる熱血指揮官だ。
今回の緊急登板でも、初日から1時間半のミーティングを行なって、自分の考えを強い言葉で選手に伝えた。また、楽しむところは楽しく、厳しく言うときは厳しくというメリハリが明確で、チームの空気を変える、活力を与えるという意味でも頼もしさを発揮している。月曜の練習後に行なわれた囲み会見では、冒頭で次のように語った。

「ここで下を向いて立ち止まってしまうのか。ファイティングポーズを取らずにこのまま尻尾を振るのか。それとも顔を上げて歯食いしばって立ち上がって、もう一度歩みを止めずに突き進むのかどうかというのは、大きな分岐点だと思います」

また報道で取り上げられた、7試合で勝点7以上を取っていないチームは昇格したことがないという過去のデータにも触れ、「じゃあそれを覆そうと。そのメンタリティを僕自身が持ってるので。こういう状況だからこそやってやろう、誰もやったことないからこそ価値があると思っています」と前向きに語った。もちろん目指すサッカーも、本当に熱い。

「今は選手たちが持っているものを100%発揮できているかというと、残念ながら僕の目にはそう映っていません。だから、彼らの持っている能力を解放させることが、勝利への近道だと思っています。フットボールを楽しむ、恐れずにチャレンジしまくる。選手にも『攻撃的でアグレッシブじゃないよ。超攻撃的・超アグレッシブに戦うんだよ』と話しました。何度失敗したって奪い返せばいいし、取り返せばいい。最後に必ず勝てばいいし、最後に必ず成功させればいいので。そういうチャレンジャー精神、マインドをもう一度しっかりと持たせながら、どんどんトライする姿、ゴールに向かう姿、仕掛ける姿、走り抜く姿、追い越す形というのを、どんどん見せたいと思っています」


就任初戦となった4月5日(水)のJリーグYBCルヴァンカップ・湘南戦では、若手やアカデミー出身選手を積極的に起用し、ユース所属の2種登録選手も途中交代で3人出場させた。その中で守備に綻びが生じて3失点して敗れたが、後半はオールコート・マンツーマンで選手1人1人の戦う姿勢、逃げない責任感を引き出し、非常に強気な指揮を最後まで貫いた。
もちろんリーグ戦でも、同様の超アグレッシブなチャレンジャー精神を選手たちに要求することだろう。それは失敗=連敗につながるリスクも当然はらんでいる。だが、その姿勢を貫き続けないかぎり、このチームが長くはまり続けている泥沼から抜け出すことはできないと、激熱の闘将は考えているようだ。

Reported by 前島芳雄