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【取材ノート:大宮】帰ってきた背番号1、笠原昂史が称えた失点場面の勇者たち

2023年2月23日(木)


どの選手が先発になり、誰がサブに入るのか。システムはどうなって、その中でどこに誰が置かれるのか。シーズン開幕戦の大きな大きな楽しみの一つである。

2023明治安田生命J2リーグの開幕戦をアウェイの地で迎えた大宮アルディージャ。去年戦ったメンバーを中心としたスターティングラインナップの中、最後尾で手綱を持ったのは、V・ファーレン長崎への期限付き移籍から復帰した笠原昂史だった。2020シーズン以来、3年ぶりとなる開幕戦出場だ。

「開幕のピッチに立つのは久しぶりでしたけど、サポーターの皆さんの後押しを受けながらピッチの上で試合をできるってすごく特別なことだと思います。自分のチャントを皆さんから聞かせてもらって、すごく高ぶるものがありました」

雨に濡れる芝はゴールキーパーにとって歓迎できるものではなかったかもしれない。それでもプロ13年目のベテランは、高ぶる気持ちを抑えつつ、終始冷静にゴールを守る。40分、セットプレーからの決定的なシュートはゴールライン上でかき出し、その他の敵のシュートも危なげなく対応した…ただ一度の場面を除いては。

72分の失点シーンを、笠原はこう振り返った。


「まず、クリアが矢島(慎也)くんのところに行ってしまったところを改善すべき。しっかり外に切るとか、飛ばして奥まで、というのができればあの失点はなかったと思う」

だが、その後の味方の守備対応は、手放しで称えた。

「矢島くんに入っちゃった後に、2人がスライディングでコースを消しに行って、最後ちょっと(新里)亮に当たっちゃって失点という形でしたけど、あれで失点を防ぐ場面も今後は絶対に出てくると思う。あそこに全員が体を張りにいっているということですし、すごくたくましいというか、ああやって行ってくれるのは後ろから見ていて本当にありがたいです」

矢島がボールを持ったところで岡庭愁人と袴田裕太郎が滑る。さらにその後方で、シュートに新里が足を伸ばしたが、それでボールの軌道が変わってしまうという不運だった。

「(足に)当たらなければたぶん防げてた失点だと思います(苦笑)。でも、こういうことって絶対シーズン通してあることだと思うので、ネガティブな部分だけ切り取らずに、しっかりポジティブに、前向きにやっていきたいと思います」



この日は登録メンバー中で最年長。クラブ在籍メンバーの中でも、南雄太に次ぐ2番目のベテランだ。その重みを、自分自身でも感じているところはある。

「いつの間にか上から数えるほうが早くなっちゃったんですけど、若い子たちがのびのびプレーできるように、後ろから鼓舞して発破かけて、のびのびとやってもらいたいと思います(笑)。年が上だからって別にかっこつけることもないですし、自分が必死になってやってる姿とで周りに何か伝わるものがあればいいと思います。自分のできることをまずしっかりやっていくことが、いい結果につながってくると思うので、あんまり考えすぎずに素直にやりたいと思います」



2021年シーズン終盤、タッチライン際から誰よりも大きな声でピッチに指示を送り、チームメートを励ましていた姿は今でも容易に思い出される。背番号1が、いよいよNACK5スタジアム大宮に帰ってくる。

Reported by 土地将靖