セルジ サンペールが怪我から復帰した今シーズンのヴィッセル神戸は、おそらく彼をアンカーに配した4-3-3布陣が基本フォーメーションになると考えられる。これをベースに選手たちを振り分けていくと、両ウイングのポジション争いがかなり激アツになることが分かる。個性豊かなサイドアタッカーを多く補強したからだ。この傾向にはどんな意味や意図があるのだろうか。“両翼”の序列を追いながら、その答えを探ってみたい。
まず右ウイングの序列を見ていく。一番手はやはり武藤嘉紀になるだろう。経験値、フィジカル、スピード、決定力…、どれをとっても1枚も2枚も上だ。
そして二番手は昨シーズンの実績を考えても飯野七聖だ。だが、彼はサイドバック起用もあるため、今回は序列から外しておく。
そうなると、次の候補はポルトガルのポルティモネンセから期限付きで加入した川﨑修平だろう。サイドからえぐってクロスもあれば、ドリブルでエリア内に侵入してシュートもある。ポルトガルで実戦から離れている点は気になるが、ポテンシャルはかなり高い。
そして東京Vから加入の井出遥也、東福岡高校から加入のスピードスター浦十藏が続くと予想される。左右どちらでもプレーできる佐々木大樹、そして飯野も含めると右ウイングの候補は6人。人材不足に悩んだ昨シーズンとは打って変わり、人材過多の状況だ。
輪をかけて激アツなのが左ウイングだ。まず先発候補の筆頭は昨シーズン5得点5アシストの汰木康也だろう。5アシストはチーム1位で、ドルブル数もチームNo.1という数字を残している。昨シーズンは彼を起点に攻撃を組み立ていたのは明らかで、今シーズンもスタメンから外すとは考えにくい。
とはいえ、今シーズンはC大阪からジェアン パトリッキという即戦力が加入しているのも事実だ。昨シーズンのドリブル数でC大阪1位を誇り、5ゴールをマークしている。C大阪ではスーパーサブ的な起用が多かったとはいえ、汰木のスタメンを脅かす存在であることは間違いないだろう。
この2人に割って入るのが佐々木とびわこ成蹊スポーツ大学から加入した泉柊椰だ。佐々木に関しては説明不要だろう。ボールを収められ、ドリブルでも崩せるなど攻撃のセンスは抜群。守備でもチームに貢献できる貴重な存在だ。足りないのは結果だけ。今シーズンはそれを追及する1年になる。
興味深いのは泉だ。日本代表の三笘薫に「自分から寄せている」というのは有名な話だが、大学4年時に取材した際には単なるコピーではないことがわかった。スポーツ大学にはさまざまな競技のトップ選手が通い、それぞれ専門に研究している先生たちがいる。泉は陸上部の学生に走りのコツを教えてもらったり、栄養学の先生から体づくりのポイントを習ったり、古武術の呼吸法を取り入れてドリブルのキレを磨いたり。「使えるものは何でも使う」精神で、大学の知的財産をフル活用。自ら成長を促し、チームの総理大臣杯ベスト4入りに貢献している。
さすがに開幕スタメンは難しいかもしれないが、何かのタイミングで化ける可能性は充分にある。
総括すると、今シーズンのヴィッセル神戸は両翼にドリブルで局面を打開できるアタッカーが揃っていると言うことができる。別の言い方をすると、両サイドにチームとしてのアドバンテージを見出そうとしている。昨シーズンリーグ戦35得点と低空飛行した攻撃面にテコ入れを敢行したということだ。
両サイドからゴリゴリに攻める(だろう)吉田ヴィッセルは、いよいよ2月4日のプレシーズンマッチ(松本戦)でお披露目となる。
Reported by 白井邦彦
まず右ウイングの序列を見ていく。一番手はやはり武藤嘉紀になるだろう。経験値、フィジカル、スピード、決定力…、どれをとっても1枚も2枚も上だ。
そして二番手は昨シーズンの実績を考えても飯野七聖だ。だが、彼はサイドバック起用もあるため、今回は序列から外しておく。
そうなると、次の候補はポルトガルのポルティモネンセから期限付きで加入した川﨑修平だろう。サイドからえぐってクロスもあれば、ドリブルでエリア内に侵入してシュートもある。ポルトガルで実戦から離れている点は気になるが、ポテンシャルはかなり高い。
そして東京Vから加入の井出遥也、東福岡高校から加入のスピードスター浦十藏が続くと予想される。左右どちらでもプレーできる佐々木大樹、そして飯野も含めると右ウイングの候補は6人。人材不足に悩んだ昨シーズンとは打って変わり、人材過多の状況だ。
輪をかけて激アツなのが左ウイングだ。まず先発候補の筆頭は昨シーズン5得点5アシストの汰木康也だろう。5アシストはチーム1位で、ドルブル数もチームNo.1という数字を残している。昨シーズンは彼を起点に攻撃を組み立ていたのは明らかで、今シーズンもスタメンから外すとは考えにくい。
とはいえ、今シーズンはC大阪からジェアン パトリッキという即戦力が加入しているのも事実だ。昨シーズンのドリブル数でC大阪1位を誇り、5ゴールをマークしている。C大阪ではスーパーサブ的な起用が多かったとはいえ、汰木のスタメンを脅かす存在であることは間違いないだろう。
この2人に割って入るのが佐々木とびわこ成蹊スポーツ大学から加入した泉柊椰だ。佐々木に関しては説明不要だろう。ボールを収められ、ドリブルでも崩せるなど攻撃のセンスは抜群。守備でもチームに貢献できる貴重な存在だ。足りないのは結果だけ。今シーズンはそれを追及する1年になる。
興味深いのは泉だ。日本代表の三笘薫に「自分から寄せている」というのは有名な話だが、大学4年時に取材した際には単なるコピーではないことがわかった。スポーツ大学にはさまざまな競技のトップ選手が通い、それぞれ専門に研究している先生たちがいる。泉は陸上部の学生に走りのコツを教えてもらったり、栄養学の先生から体づくりのポイントを習ったり、古武術の呼吸法を取り入れてドリブルのキレを磨いたり。「使えるものは何でも使う」精神で、大学の知的財産をフル活用。自ら成長を促し、チームの総理大臣杯ベスト4入りに貢献している。
さすがに開幕スタメンは難しいかもしれないが、何かのタイミングで化ける可能性は充分にある。
総括すると、今シーズンのヴィッセル神戸は両翼にドリブルで局面を打開できるアタッカーが揃っていると言うことができる。別の言い方をすると、両サイドにチームとしてのアドバンテージを見出そうとしている。昨シーズンリーグ戦35得点と低空飛行した攻撃面にテコ入れを敢行したということだ。
両サイドからゴリゴリに攻める(だろう)吉田ヴィッセルは、いよいよ2月4日のプレシーズンマッチ(松本戦)でお披露目となる。
Reported by 白井邦彦