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【取材ノート:藤枝】初舞台に挑む須藤MYFC。開幕に向けたトレーニングの感触を探る

2023年1月27日(金)
クラブ初のJ2への挑戦に向けて、主力の多くが残り、新戦力14人を加え、もちろん須藤大輔監督も続投して、1月8日(日)に始動した藤枝MYFC。サポーターとしては不安も多少ありつつ、それ以上に楽しみが圧倒的に勝る1年となる。そこで今回は、始動から3週間弱の時点での状況や感触をお伝えする。

須藤監督のチーム作りで、まず新加入選手がいきなり面食らうのは、始動日から非常にハードな練習をすることだ。その後も2部練習が続いて午前・午後とも強度の高い練習を繰り返している。既存選手はそれに慣れていて、オフ期間にも身体をかなり作ってきたが、新加入選手たちはやはり「キツい」と本音を漏らす。

ただ、大宮から来た28歳の大型センターバック、山田将之が「ランメニューはほとんどなくて、ボールを使って激しくやっていて、試合の状況も想定できるので、キツいですけど自分の成長につながると感じます」と言うように、全員が意欲的に取り組んでいる。

須藤監督が掲げる「超攻撃的エンターテイメントサッカー」をするためには、技術だけでなく走力やスタミナも絶対に欠かせない。疲れてきた中でのプレー精度を高めるという意味でも、須藤流のトレーニングは昨年も選手たちの大幅な成長を促してきた。それでいてここまで負傷離脱する選手が少ないのも好材料だ。

もちろんチームとして重要なテーマとしている「止める・渡す」の面も初日から徹底的にこだわっている。センターバックも攻撃の組み立てで重要な役割を担うことに対して、前出の山田は次のように語る。

「自分はすごく得意というプレースタイルではないですが、ビルドアップは僕自身も身につけたいところですし、ボールをたくさん使う練習で日々成長できているなと。意識ひとつでうまくなれる練習が多いので、すごく充実してるし、楽しんでやれていると思います」

その「止める・渡す」に関しては、昨年からの積み上げがある既存選手がやはり高いクオリティを見せているが、新加入選手もそれに負けじと意識を高め、基礎的な練習から高い集中力や競争意識が感じられる。

須藤監督もそうした選手たちの姿を見て、「ゲームモデルが明確なので、それを形にしようと全員が積極的にやってくれています。(新加入選手も)それぞれの良いところが良い意味でバラバラなので面白いですし、我々のハイパワーサッカーに対応できる能力もある。プラスαでテクニカルな部分でも対応できる選手を補強したので、それが練習のピッチでも表われていると感じます」と言う。

須藤監督も選手たちも、藤枝スタイルはJ2にも通用するという自信を持っているが、J3との最大の違いは相手の個の力がより高くなること。「特にペナルティーエリア付近の攻防ではそこが明確に出るので、個の成長は絶対に欠かせません」(須藤監督)というわけで、選手たちは大変だろうが、キツい練習は1年間を通して続いていくだろう。

「トレーニング中から選手が躍動するシーンが非常に多いので、それを見て我々スタッフも楽しいですし、選手もやっていて楽しいと思います。それがすごく成長につながるということは、僕自身も現役時代に感じていました。もちろん厳しさも練習に落とし込んでいますが、その中で選手が伸びていけば、必ずチームとしての結果にも還元されると思っています」(須藤監督)

世間では降格候補に挙げる声もあるが、「だから自由にできますよ」と須藤監督は不敵に笑う。クラブの規模や資金力から見れば降格候補となるかもしれないが、前評判をひっくり返すだけの準備は間違いなく順調に進んでいる。

Reported by 前島芳雄