2度目のJ2リーグに挑む清水エスパルスは、例年より早い1月6日(金)に新体制発表記者会見を開催。冒頭で山室晋也社長が「1年で必ずJ1に戻ることが使命」と語ったように、クラブの全員が1年でのJ1復帰を至上命題に掲げてスタートを切った。
そんな会見の中で、地元クラブへの想いの強さを一際感じさせてくれたのが、9年ぶりに清水に戻ってきた32歳のサイドバック・吉田豊だった。
静岡県富士宮市の出身で、静岡学園高卒の吉田は、甲府を経て2012年から3年間清水でプレー。1対1に非常に強いアグレッシブなサイドバックとして活躍した。そこから鳥栖で4年、名古屋で4年主力として活躍し、J1で338試合に出場。J2も合わせると398試合で、あと2つで通算400試合に達する。
多くの経験を得たうえで古巣への復帰を決断した理由を、次のように語った。
「エスパルスはJ2にいるクラブじゃないし、大熊(清)GMとは何度もお話しさせてもらって、ビジョンという部分ですごく共感できるものもあったし、自分にできることっていうのがすごくマッチしたので。J2ですけど、1年で上がればいい話だし、それができる自信は僕自身にもチーム全体にもあると思ったので、すぐに決めました」
その「自分にできること」のひとつが、「僕がいた9年前は素晴らしい先輩方がたくさんいて、良いものを見させてもらって僕もここまで成長できました。そういう先輩の素晴らしいところを受け継いで、今いるたくさんの若手に背中を見せられたらいいなと思っています」という部分だ。
その一環と言えるかどうかはわからないが、会見後のフォトセッションで吉田が発揮したのは、彼の魅力である底抜けの明るさだった。若い選手は撮影時に表情が硬くなりがちだが、率先して笑いを誘う言葉を発しながら緊張する新人たちの表情を和らげていたのが印象的だった。
「(清水に戻ってきて)なんかちょっと(雰囲気が)暗いかなって感じた部分がありました。そういうときに(年齢が)上の人がほどけないと、下の人もほどけられないと思うんですよ。だから頭ももうちょっと短くしようかなと、つるっつるに(笑)。やっぱり楽しむときは楽しく、でもピリッとするときはピリッとするという感じのほうがいいですよね」(吉田)
FIFAワールドカップカタール2022の日本代表で長友佑都が担っていた役割を買って出ているかのように見えたが、長友の影響があるかと聞いたら「ないです。僕は僕なんで(笑)」と即答。あくまで自分らしく自然体でチームを盛り上げていく考えのようだ。
もちろん、プレーの面でもチームを引っぱってくれることは間違いない。以前の在籍時から自身の中で大きく変化したことのひとつに、ボールがない時に考えていることが非常に増えたという面があると語る。
「自分で考えるという部分はすごく増えましたね。一昨年は55試合出たんですが、身体よりも頭のほうが疲れました。試合後は糖分を欲してましたから(笑)。でも、それってすごく大事だと思います。(清水は)カウンターを食らって点を取られるシーンも多いですが、攻めてるときに身体は休めるけど、いかに頭を休めないでいるかが本当に大事。そこは若手にビシッと教えておきますよ」
クラブとして掲げた今季のプレースタイルである「アクションフットボール」のサブテーマとして、「(常に相手より)先に考え、先にアクション」という言葉がある。大熊GMも「ボールがないところでどれだけ頭を使い続けられるか。そこをトップチームだけでなく育成のところから徹底していきたい」と言う。
吉田が「ビジョンの部分で共感できるものもあった」と語った一要素が、そこに垣間見えた。チームの雰囲気作りにも、プレーのビジョン作りでも、大きな役割を果たしてくれそうな4児のパパ。加入初日から抜群の頼もしさを発揮してくれた。
Reported by 前島芳雄
そんな会見の中で、地元クラブへの想いの強さを一際感じさせてくれたのが、9年ぶりに清水に戻ってきた32歳のサイドバック・吉田豊だった。
静岡県富士宮市の出身で、静岡学園高卒の吉田は、甲府を経て2012年から3年間清水でプレー。1対1に非常に強いアグレッシブなサイドバックとして活躍した。そこから鳥栖で4年、名古屋で4年主力として活躍し、J1で338試合に出場。J2も合わせると398試合で、あと2つで通算400試合に達する。
多くの経験を得たうえで古巣への復帰を決断した理由を、次のように語った。
「エスパルスはJ2にいるクラブじゃないし、大熊(清)GMとは何度もお話しさせてもらって、ビジョンという部分ですごく共感できるものもあったし、自分にできることっていうのがすごくマッチしたので。J2ですけど、1年で上がればいい話だし、それができる自信は僕自身にもチーム全体にもあると思ったので、すぐに決めました」
その「自分にできること」のひとつが、「僕がいた9年前は素晴らしい先輩方がたくさんいて、良いものを見させてもらって僕もここまで成長できました。そういう先輩の素晴らしいところを受け継いで、今いるたくさんの若手に背中を見せられたらいいなと思っています」という部分だ。
その一環と言えるかどうかはわからないが、会見後のフォトセッションで吉田が発揮したのは、彼の魅力である底抜けの明るさだった。若い選手は撮影時に表情が硬くなりがちだが、率先して笑いを誘う言葉を発しながら緊張する新人たちの表情を和らげていたのが印象的だった。
「(清水に戻ってきて)なんかちょっと(雰囲気が)暗いかなって感じた部分がありました。そういうときに(年齢が)上の人がほどけないと、下の人もほどけられないと思うんですよ。だから頭ももうちょっと短くしようかなと、つるっつるに(笑)。やっぱり楽しむときは楽しく、でもピリッとするときはピリッとするという感じのほうがいいですよね」(吉田)
FIFAワールドカップカタール2022の日本代表で長友佑都が担っていた役割を買って出ているかのように見えたが、長友の影響があるかと聞いたら「ないです。僕は僕なんで(笑)」と即答。あくまで自分らしく自然体でチームを盛り上げていく考えのようだ。
もちろん、プレーの面でもチームを引っぱってくれることは間違いない。以前の在籍時から自身の中で大きく変化したことのひとつに、ボールがない時に考えていることが非常に増えたという面があると語る。
「自分で考えるという部分はすごく増えましたね。一昨年は55試合出たんですが、身体よりも頭のほうが疲れました。試合後は糖分を欲してましたから(笑)。でも、それってすごく大事だと思います。(清水は)カウンターを食らって点を取られるシーンも多いですが、攻めてるときに身体は休めるけど、いかに頭を休めないでいるかが本当に大事。そこは若手にビシッと教えておきますよ」
クラブとして掲げた今季のプレースタイルである「アクションフットボール」のサブテーマとして、「(常に相手より)先に考え、先にアクション」という言葉がある。大熊GMも「ボールがないところでどれだけ頭を使い続けられるか。そこをトップチームだけでなく育成のところから徹底していきたい」と言う。
吉田が「ビジョンの部分で共感できるものもあった」と語った一要素が、そこに垣間見えた。チームの雰囲気作りにも、プレーのビジョン作りでも、大きな役割を果たしてくれそうな4児のパパ。加入初日から抜群の頼もしさを発揮してくれた。
Reported by 前島芳雄