これもまた、ひとつの意思表示である気もする。11月25日に2022年シーズンの全日程を終え、Jリーグの各クラブが戦力の補強と整理を見せる中、名古屋グランパスでも選手の入れ替えは活発だ。11月に発表されたレオ シルバと宮原和也、渋谷飛翔の契約満了のリリースは特に後者2名がチーム古参の選手だったこともあり、サポーターの反応は悲喜こもごも。その後2名には宮原が東京V、渋谷は甲府と新天地が発表になっているが、改めてこの場で感謝の気持ちを表したい。あの厳しいJ2を勝ち抜き、昇格後も浮き沈みの激しかったチームを支えてくれた彼らは、功労選手といっても何ら差し支えない存在だった。
話を戻すと、契約満了に続いては移籍の報が相次いだ。昨季獲得し、熊本での修行に出されていたターレスが復帰し、阿部浩之が湘南へ行き、甲府から山田陸を獲得している。広島から野上結貴を迎え入れ、仙頭啓矢がわずか1年で柏へと去り、米本拓司が湘南への期限付き移籍を終え、名古屋へカムバックした。岡山へ期限付き移籍していた成瀬竣平は来季は山形へとその修練の場を移し、そしてまさかの和泉竜司が鹿島からの帰還を果たしている。このオフシーズンの入れ替わりをこうして振り返り、感じることは“長谷川グランパス”のさらなる先鋭化ではないだろうか。内田宅哉の期限付き移籍期間延長も、その流れに合致するものである。
つまりは、インテンシティ。長谷川健太監督が求める“熱い試合”を構成する基本にして最重要の能力を、重視したストーブリーグということだ。もちろん、他チームに移籍していった選手たちにそれがないとは言わないが、少なくともそこに特徴がある選手ではないというのもまた確か。とりわけ阿部と仙頭が出て、米本や和泉、山田が加入したあたりにそのカラーは色濃く表現される。ターレスを戻し、内田を来季の戦力としてキープしたのも、やはり様々な選手個々の能力の土台に、プレー強度が出せるか否かが含まれていることを強く感じさせるところだ。彼らのもたらす激しさ、強さ、タフさは、2022年の名古屋には不足しがちな要素であったことは間違いない。
そして和泉である。彼の復帰はチームの戦力的、戦術的要素に留まらず、“名古屋グランパスらしい選手”という存在感でも大きく作用する。前述したように現在のチーム古参選手は、16年加入の武田洋平が最も古株で、宮原と渋谷の移籍によって次は18年夏加入の丸山祐市と中谷進之介という状況になった。先だってより名古屋のミッドランドスクエアシネマ2で上映されているチームの2022年公式ドキュメンタリー「INSIDE GRAMPUS THE DEEP-未来への覚悟-」の舞台挨拶においても、中谷が「おれとマルくんがフィールドでは一番古株になりました。すごくないですか?」と本人としても驚きの表情を見せている。
いわゆる生え抜きの選手がそれほど多くなく、だからこそ昇格4年目の藤井陽也の活躍が目覚ましくもあったチームにおいては、今夏に復帰した永井謙佑や在籍時は人気の高かった米本とともに、名古屋のDNAを感じさせる選手が増えたことの意義や意味合いは大きい。当然、選手としてのクオリティも高く、万能性と攻撃力、テクニックの高さにインテンシティを載せられるタフネスは鹿島でも披露してきたところ。中谷は「びっくりしましたよ。少しは聞いていたんですけど、ファミリーの皆さん、あの“お尻”が帰ってきますよ!」と独特の表現で喜んだが、あのパワフルかつテクニカルなパフォーマンスをまた名古屋で見られるというのは楽しみで仕方ない。
もう一度書く。これは名古屋の意思表示である。2022年より力強く、タフに、強度の高い試合をして、彼らは勝点を積み上げようとしている。そして、名古屋グランパスという色合いをより強めた形で勝とうとしている。補強はまだ終わっていないだろうが、意気込み、気合は十分である。思うように戦えなかった、勝てなかった集団は、新シーズンも1月8日からスタートさせ、これ以上ない充実した準備をもとに反撃を目論んでいる。
Reported by 今井雄一朗
話を戻すと、契約満了に続いては移籍の報が相次いだ。昨季獲得し、熊本での修行に出されていたターレスが復帰し、阿部浩之が湘南へ行き、甲府から山田陸を獲得している。広島から野上結貴を迎え入れ、仙頭啓矢がわずか1年で柏へと去り、米本拓司が湘南への期限付き移籍を終え、名古屋へカムバックした。岡山へ期限付き移籍していた成瀬竣平は来季は山形へとその修練の場を移し、そしてまさかの和泉竜司が鹿島からの帰還を果たしている。このオフシーズンの入れ替わりをこうして振り返り、感じることは“長谷川グランパス”のさらなる先鋭化ではないだろうか。内田宅哉の期限付き移籍期間延長も、その流れに合致するものである。
つまりは、インテンシティ。長谷川健太監督が求める“熱い試合”を構成する基本にして最重要の能力を、重視したストーブリーグということだ。もちろん、他チームに移籍していった選手たちにそれがないとは言わないが、少なくともそこに特徴がある選手ではないというのもまた確か。とりわけ阿部と仙頭が出て、米本や和泉、山田が加入したあたりにそのカラーは色濃く表現される。ターレスを戻し、内田を来季の戦力としてキープしたのも、やはり様々な選手個々の能力の土台に、プレー強度が出せるか否かが含まれていることを強く感じさせるところだ。彼らのもたらす激しさ、強さ、タフさは、2022年の名古屋には不足しがちな要素であったことは間違いない。
そして和泉である。彼の復帰はチームの戦力的、戦術的要素に留まらず、“名古屋グランパスらしい選手”という存在感でも大きく作用する。前述したように現在のチーム古参選手は、16年加入の武田洋平が最も古株で、宮原と渋谷の移籍によって次は18年夏加入の丸山祐市と中谷進之介という状況になった。先だってより名古屋のミッドランドスクエアシネマ2で上映されているチームの2022年公式ドキュメンタリー「INSIDE GRAMPUS THE DEEP-未来への覚悟-」の舞台挨拶においても、中谷が「おれとマルくんがフィールドでは一番古株になりました。すごくないですか?」と本人としても驚きの表情を見せている。
いわゆる生え抜きの選手がそれほど多くなく、だからこそ昇格4年目の藤井陽也の活躍が目覚ましくもあったチームにおいては、今夏に復帰した永井謙佑や在籍時は人気の高かった米本とともに、名古屋のDNAを感じさせる選手が増えたことの意義や意味合いは大きい。当然、選手としてのクオリティも高く、万能性と攻撃力、テクニックの高さにインテンシティを載せられるタフネスは鹿島でも披露してきたところ。中谷は「びっくりしましたよ。少しは聞いていたんですけど、ファミリーの皆さん、あの“お尻”が帰ってきますよ!」と独特の表現で喜んだが、あのパワフルかつテクニカルなパフォーマンスをまた名古屋で見られるというのは楽しみで仕方ない。
もう一度書く。これは名古屋の意思表示である。2022年より力強く、タフに、強度の高い試合をして、彼らは勝点を積み上げようとしている。そして、名古屋グランパスという色合いをより強めた形で勝とうとしている。補強はまだ終わっていないだろうが、意気込み、気合は十分である。思うように戦えなかった、勝てなかった集団は、新シーズンも1月8日からスタートさせ、これ以上ない充実した準備をもとに反撃を目論んでいる。
Reported by 今井雄一朗