「FIFAワールドカップカタール2022」で、日本代表がドイツ代表に勝利した2022年11月23日。小林友希のセルティック移籍リリースが届いた。以前から噂はあった話が、ついに現実となった。
小林友は今回の移籍に際して「僕は、幼稚園でサッカースクールに入った時からずっとヴィッセル神戸のアカデミーで育ててもらい、スクール時代、アカデミー、そしてトップチームで素晴らしい指導者の方たちに恵まれ、成長させていただきました」とコメントしている。19年後半にJ2町田に、20年は横浜FCに期限付き移籍してプレーしたが、それ以外はずっと神戸で過ごしてきた。彼の言葉通り、生粋のアカデミー育ちだ。
今や左利きのCBとして神戸には欠かせない存在に成長した小林友だが、そのきっかけは「FIFA U-20 ワールドカップポーランド2019」かもしれない。この大会で日本代表はイタリアやメキシコなど強豪が集うグループBを2位(1勝2分)で通過。だが、ノックアウトステージ初戦でライバルの韓国に0-1で敗れてしまう。手応えと同時に、世界との差を感じた大会だった。
当時の取材ノートに小林友とのやり取りが残っていた。その質疑応答を抜粋して紹介しておく。
Q:全4試合に出場したが、個人としてはどんな感想ですか?
「日本よりも海外の方がシンプルにロングボールを蹴ってくることが多かった。相手FWとの競り合いの場面も多く、自分自身も最初は単に高い打点で競り合おうと思っていた。けれど、海外の選手は駆け引きがうまくて、素直に競っていてはダメだと気付かされた。ボールが来る前に体を当ててポジションを確保したり、DFが意図して競らずにセカンドボールを周りの選手に拾わせたり。初戦のエクアドル戦では後手を踏んだので、2戦目からは駆け引きを意識して取り組むようにしました。その中で、徐々に駆け引きで勝てる機会も増えてきた。完璧ではないですが、手応えもあった。その部分を日本でも続けていきたいです」
Q:大会を通して見つかった個人の課題は何ですか?
「いろいろとありますが、世界と戦う上で最も課題に感じたのはセットプレーでの得点力(決定力)です。今の時代はCBがセットプレーでゴールを奪い、ギリギリの試合で勝負を決める場面も多くなっています。ワールドカップのような大会ではセットプレーでの得点が3分の1以上を占めています。韓国戦では自分にもチャンスがあった中でそれを決められなかった。ほかの試合ではCBがセットプレーでゴールを決めて勝っているチームもありましたし、自分もセットプレーで得点できるCBにならないといけないと思いました。
韓国戦でのセットプレーでは、相手の前に入ってヘディングを合わせられました。けれど、決めきれなかった。時間的にも75分前後で、あれを決めていれば勝利に大きく近づいたと思いますし、結果的にそのセットプレーの後に失点して敗れました。失点シーンでは自分が外された悔しさも残っていますが、その前のセットプレーを決めきれなかったことの方が悔しいです。日本に帰って得点力を磨かないといけないと思いました」
大会を終えて神戸に帰還した小林友は、約1ヶ月後にJ2町田へ期限付き移籍した。そして翌年は横浜FCで明治安田J1の28試合に出場し2得点という結果を残している。それを経て21年に神戸に戻ってきた小林友の顔からは、あどけなさが消えた印象だった。
今回のセルティック移籍で小林友はどんな成長を遂げるだろうか。FIFA U-20 ワールドカップポーランド2019で世界に触れて意識が変わったように、ヨーロッパでのプレーが彼を次のステップに押し上げることを期待したい。
「ヴィッセルアカデミーの価値を世界に示したいし、アカデミーの選手に目標とされる選手になりたい」と意気込む22歳。これからも彼の挑戦を見守りたい。
Reported by 白井邦彦
小林友は今回の移籍に際して「僕は、幼稚園でサッカースクールに入った時からずっとヴィッセル神戸のアカデミーで育ててもらい、スクール時代、アカデミー、そしてトップチームで素晴らしい指導者の方たちに恵まれ、成長させていただきました」とコメントしている。19年後半にJ2町田に、20年は横浜FCに期限付き移籍してプレーしたが、それ以外はずっと神戸で過ごしてきた。彼の言葉通り、生粋のアカデミー育ちだ。
今や左利きのCBとして神戸には欠かせない存在に成長した小林友だが、そのきっかけは「FIFA U-20 ワールドカップポーランド2019」かもしれない。この大会で日本代表はイタリアやメキシコなど強豪が集うグループBを2位(1勝2分)で通過。だが、ノックアウトステージ初戦でライバルの韓国に0-1で敗れてしまう。手応えと同時に、世界との差を感じた大会だった。
当時の取材ノートに小林友とのやり取りが残っていた。その質疑応答を抜粋して紹介しておく。
Q:全4試合に出場したが、個人としてはどんな感想ですか?
「日本よりも海外の方がシンプルにロングボールを蹴ってくることが多かった。相手FWとの競り合いの場面も多く、自分自身も最初は単に高い打点で競り合おうと思っていた。けれど、海外の選手は駆け引きがうまくて、素直に競っていてはダメだと気付かされた。ボールが来る前に体を当ててポジションを確保したり、DFが意図して競らずにセカンドボールを周りの選手に拾わせたり。初戦のエクアドル戦では後手を踏んだので、2戦目からは駆け引きを意識して取り組むようにしました。その中で、徐々に駆け引きで勝てる機会も増えてきた。完璧ではないですが、手応えもあった。その部分を日本でも続けていきたいです」
Q:大会を通して見つかった個人の課題は何ですか?
「いろいろとありますが、世界と戦う上で最も課題に感じたのはセットプレーでの得点力(決定力)です。今の時代はCBがセットプレーでゴールを奪い、ギリギリの試合で勝負を決める場面も多くなっています。ワールドカップのような大会ではセットプレーでの得点が3分の1以上を占めています。韓国戦では自分にもチャンスがあった中でそれを決められなかった。ほかの試合ではCBがセットプレーでゴールを決めて勝っているチームもありましたし、自分もセットプレーで得点できるCBにならないといけないと思いました。
韓国戦でのセットプレーでは、相手の前に入ってヘディングを合わせられました。けれど、決めきれなかった。時間的にも75分前後で、あれを決めていれば勝利に大きく近づいたと思いますし、結果的にそのセットプレーの後に失点して敗れました。失点シーンでは自分が外された悔しさも残っていますが、その前のセットプレーを決めきれなかったことの方が悔しいです。日本に帰って得点力を磨かないといけないと思いました」
大会を終えて神戸に帰還した小林友は、約1ヶ月後にJ2町田へ期限付き移籍した。そして翌年は横浜FCで明治安田J1の28試合に出場し2得点という結果を残している。それを経て21年に神戸に戻ってきた小林友の顔からは、あどけなさが消えた印象だった。
今回のセルティック移籍で小林友はどんな成長を遂げるだろうか。FIFA U-20 ワールドカップポーランド2019で世界に触れて意識が変わったように、ヨーロッパでのプレーが彼を次のステップに押し上げることを期待したい。
「ヴィッセルアカデミーの価値を世界に示したいし、アカデミーの選手に目標とされる選手になりたい」と意気込む22歳。これからも彼の挑戦を見守りたい。
Reported by 白井邦彦