やっと、やっと背番号10が帰ってきた。来シーズンのトップチーム昇格に内定し、現在U18チームでエースナンバーを背負う阿部来誠が、ようやく公式戦のピッチに戻ってきたのだ。
今季開幕前に行なわれたトップチームのキャンプに初帯同。だが、練習試合に途中出場を果たしたその直後に、セットプレーの競り合いに巻き込まれた。いわゆるもらい事故で、右膝に大きな怪我を負ってしまった。
前十字靭帯および内側側副靱帯断裂、半月板損傷。いつ復帰できるとも知れない、治療とリハビリの日々。「今となったらけっこうあっという間だった」とあっさりしたものだが、やはり怪我の直後は辛かったようで、「サッカー辞めたいなと思うぐらいの時もあった」。それでも、「みんなの支えもあって何とか戻ってこれました」と笑顔を見せた。
11月20日に行われた高円宮杯JFAプレミアリーグEAST第20節、市立船橋戦での初出場は84分。1点ビハインドの中、1.5列目に入ると、ロングスローから同点ゴールをアシスト。しかも、試合後には「あれ、最後は俺に当たって入ったんで、本当は俺のゴールです」と明かす。公式記録上はアシストにもゴールにもならなかったが、復帰早々得点に絡んだのは喜ばしい。「負けたのは悔しいですけど、楽しかったというのが一番大きい」と、試合後の取材中は終始笑みが絶えなかった。
いよいよ来年は念願のプロ選手となる。
「怪我してるのに上がるのは、あんまりいいことではないのかなとも思うんですけど、去年までのプレーを見てくれていて、それで上げてくれたのは本当にうれしいです」
トップ下やボランチといった、中央で攻撃を司る役回りだが、「守備でもハードワークとか球際の部分とか、闘うところも自分の特長だと思うので、そういうところを出していきたい」と意気込む。
何よりも、今年プレーできなかった鬱憤が溜まりに溜まっている。
「今できない分、来シーズンからどんどんアピールしてやっていきたいという気持ちは強いです」
2023年、大宮アカデミー出身の18歳に注目してほしい。
Reported by 土地将靖