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【取材ノート:清水】サポーターの祈りを背負って戦う最終節。追い込まれた清水は“火事場の馬鹿力”を発揮できるか

2022年11月4日(金)
運命のJ1最終節がいよいよ始まろうとしている。

前節の敗戦で自動降格圏の17位に落ちた清水は、今節の札幌戦で引き分け以下に終われば、他の結果に関係なく2度目のJ2降格が決まる。札幌に勝った場合は、あとは16位・京都と15位・G大阪の結果しだい。京都が引き分け以下、あるいはG大阪が敗れれば、プレーオフ出場に。両チームともその結果になれば、15位での残留となる。

いずれにしても札幌に勝つしかないという状況は変わらない。そこで7試合ぶりの勝利を挙げるためのポイントを、監督や選手の言葉から探っていきたい。

まず札幌との相性だが、直近では4試合勝利がなく、札幌ドームでは3勝0分5敗(J1での対戦)。清水は以前からペトロヴィッチ監督のチームと相性が良いとは言えず、同監督が札幌に来た2018年からは2勝2分5敗。2019年には0-8で敗れた試合があり、札幌ドームでは5失点が2回ある。

札幌の攻撃に関して、GK権田修一は次のように語る。

「ペトロヴィッチ監督が広島に来て日本で監督をやり始めたときから、どこのチームでも3人目を使う意識というのが生命線というか。ひとつのボールに対してスルーして3人目を使うとか、クロスが上がって大外で折り返すときに中で絶対3人目が動いてるとか、ボールに対して複数の選手が連動して動くというのは、ピッチの至るところで彼らはやってきます。そこにうちがプレッシャーをかけて相手の判断を奪うということも必要ですし、彼らがアクションしてくるところで、ただ下がるだけじゃなくて、プレッシャーをかけながら潰すことが大事かなと思います」

また今の札幌はマンツーマン的な守備をしているが、後方からのビルドアップに課題を残す清水としては、そこもやりにくいところだ。

「彼らのマンツーマンの守備というのは非常に激しいですから、それに苦しむ時間帯もあるかと思いますが、逆にそれをはがす動きを我々が繰り返していって、我々の流れに持っていきたいと考えています」とゼ リカルド監督は言う。

札幌はJリーグの中でも特徴のあるサッカーをしてくる相手だけに、その対策はブラジル人指揮官も入念に準備し、今週の練習に落とし込んでいる。それが成果を上げることを期待したい。

ただ、ここまで来れば、そうした対策や戦術以上に重要なことがあると、若きリーダー・立田悠悟は言う。

「個人的には、最後は技術、戦術うんぬんよりも気持ちのところが一番勝ると思っています。ラスト1試合にどれだけ自分を賭けられるか、そこで終わってもいいぐらいでやれるか。自分はそのつもりですし、そういう選手が多ければ多いほどボールも転がってくるだろうし、勝ちにつながる場面が増えてくると思います。何かを伝えられるような試合をして、とにかく勝ちたいです」

切羽詰まった清水が“火事場の馬鹿力”をどれだけ出せるのか。静岡ダービーや前節・鹿島戦ではそれを出せなかっただけに「今節こそ」という期待は大きい。

その意味では、昨年の最終節でも勝負強さを存分に発揮した西澤健太が、ケガから復帰してきたのはプラス材料だ。当然本人もこの最終節にかける想いは非常に強い。

「僕はケガをしたときからここに照準を合わせて、ここで力を発揮するために準備をしてきたつもりです。貯めてきたエネルギーをここで爆発させたいと思ってます。鹿島戦では正直出し切れなかった部分も感じてるので、この1週間でメンタルも身体のコンディションもしっかり準備したいと思います」(西澤)

もちろん、個人としてだけでなく、チームとしてひとつになって土壇場でガムシャラなパワーを発揮することが欠かせない。

「もう勝つしかないので、みんな本当にエネルギーをそこに全集中していますし、心の準備もしっかりとできて、チームが一つになって準備できている感触はあります」と片山瑛一は言う。

残留を心から願いながら見守る我々としても、彼らの言葉を信じてピッチの選手たちに強い信念やエネルギーを送り続けたい。


Reported by 前島芳雄