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【取材ノート:新潟】2022年のラストマッチで堀米悠斗が見ていたもの

2022年10月26日(水)
すでにJ1昇格、J2優勝を決めていたが、ホームのデンカビッグスワンスタジアムで勝って有終の美を飾りたい最終節のFC町田ゼルビア戦。アルビレックス新潟は押し込まれる時間もあったが、13分、カウンターからMF三戸舜介のゴールで先制すると、試合の流れを次第にたぐり寄せていく。


状況をコントロールするためにテンポよくボールを動かす中、DF堀米悠斗が左サイドバックの定位置を離れ、まるでボランチのように位置取り、プレーする場面もあった。

「町田がけっこうマンツーマンの色が強かったので、そこでプレーして具体的に何かを起こすというより、相手がどう反応するかを見ていました。中までサイドハーフが付いてくるのか、他の誰かが自分に付いてくるのか。いろいろ見る中で、普通ならボランチがいるようなポジションに行けば、おそらくフリーになれるだろうと感じました。ボール保持に関しては、自分がそこにいる方が、安定感が出るだろう、と」

ボールを動かしながら、攻め込む糸口を探る。新潟のスタイルにおける定石の一つである。左サイドから中央に大胆に移動して堀米が観察していたのは、相手だけではなかった。中に入った自分に代わり、左センターバックのDFトーマス デンが高い位置を取る。このローテーションによって、左サイドハーフの三戸が得意のドリブルで1対1を仕掛けるシーンが増える。「自分がイレギュラーなポジションを取ったときのチームの反応が、とても早く、良くなっている」という堀米の手応えは、チーム全体で状況を見ながら、的確にプレーできるまでに成長していることを物語る。

「前半の内に1-1に追いつかれましたが、後半は特に相手を見ながら、どちらのサイドから攻めるのか、どこでスピードアップするのか、しっかり判断できました。ミスもありましたが、トータルでとても良いゲームができたと感じています。みんなの判断が、どんどん正しくなってきている」

83分、三戸のこの試合2点目が決勝ゴールとなった。あざやかなコンビネーションで中央を崩したゴールには、チームの共通理解が濃密に詰まっていた。

堀米がコンサドーレ札幌から新潟に加入した2017年、チームはJ2に降格した。あれから5年。優勝セレモニーでキャプテンとして高々とシャーレを掲げるその表情は、この上ない喜びと、自分たちが築き上げたサッカーへの誇りで輝いていた。


Reported by 大中祐二