前節・YS横浜戦に4-1で完勝し、2位・鹿児島と勝点1差の3位に上がった藤枝MYFC。次節(10/9)には4位・松本とのJ2昇格に向けた大一番が控えているが、それに向けてチームのムードはさらに良くなっている。
前回の取材ノートでは、須藤MYFCの魅力を紹介したが、今回はそのサッカーを実際にピッチで表現している個性豊かな選手たちを紹介したい。
まず筆者的にイチ推しなのは、シャドーの横山暁之と右ウィングバックの久保藤次郎だ。結果という意味でも、ここまで横山がチームトップの11得点(J3得点ランク4位)、久保がチーム2位の9得点(同7位タイ)。2人ともアシストやチャンスメイクも多く、超攻撃的サッカーを牽引している選手たちだ。
東京Vユースの出身の横山暁之は、テクニシャン揃いの藤枝の中でも足下の技術が際立っているが、北陸大学時代はそれほど注目された存在ではなく、4年時の大ケガもあってプロに入りは叶わなかった。だが、夢をあきらめずに母校でトレーニングを続け、1年間の浪人生活を経て2020年に藤枝に加入。1年目はフィジカル面の不安もあって公式戦の出場はなかったが、2年目(昨年)は須藤大輔監督が就任してから持ち前のテクニックが高く評価され、須藤体制初戦(8/28富山戦)に先発起用されてJ初出場。主軸の1人となるだけの力を発揮したが、ケガが多く出場は6試合に留まった。
だが、自ら地道な肉体改造を続けてケガも減り、今季は2シャドーの一角としてチームの軸に成長。課題だったゴールに絡むプレーも増やして、今やJ3トップクラスのアタッカーとして注目度はグングンと上がっている。無名の存在から浪人生活を経て自力で這い上がってきたという意味でもJ3ならではの選手であり、上のカテゴリーに上がったときにどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、想像するだけでワクワクしてくる。
久保藤次郎は、今年中京大から加入したルーキーだが、昨年から特別指定選手として6試合出場/2得点と鮮烈な働きを見せていた。当然今季は即戦力として期待されたが、その期待以上のプレーを続けている。
久保の武器は、スピードを生かした突破力と運動量。右サイドで活発な上下動を繰り返しながら守備でも献身的にポジションをとり、攻撃では裏に抜け出して鋭いクロスからゴールを演出。それだけでなく自らゴール前に入っていって得点も量産している。そこで光るのが、シュートの冷静さや精度が日に日に向上していることだ。
「大学のときは数打って決めるタイプでしたが、プロになってからシュート練習を増やしていて、その成果が出ているのかなと感じます。それとゴール前に入っていくことをつねに意識してるので、そこは意識したもの勝ちみたいな感じですかね」と久保自身は語る。
中学時代は名古屋のアカデミーに在籍し、ユースには上がれなかった選手だが、真面目で謙虚な姿勢がここまでの成長を促してきた。もちろん、まだまだ伸びしろはたっぷりと残しており、イケメンとしても推したい選手だ。
今季はキャプテンに抜擢された杉田真彦も、横山と同様に雑草系の成長株だ。地元の静岡西高校(サッカーでは中堅校)から順天堂大学に進み、2018年の卒業と同時にソニー仙台に加入。2年目で11得点を決めてJFLベストイレブンに選出され、2020年の藤枝入りをつかんだ。
プロ1年目は9試合に出場したが、先発は1回だけでトータルの出場時間は164分。だが、2年目は1列下がってボランチでの起用が増え、運動量や攻守における球際の強さといった持ち味を発揮して28試合に出場。今季は須藤監督にキャプテンを任され、開幕当初はケガで出遅れたものの復帰後は2シャドーの軸となり、幅広く動いてチャンスに絡み、前線からのタフな守備でもチーム戦術を支えている。無尽蔵と言えるほどのスタミナも持ち味で、終盤はボランチに下がって試合を締めくくることも多い。
明るい性格も魅力のひとつで、加入当初はすべり芸も存分に発揮。練習を見ていても本当に楽しそうにサッカーをしているのが印象的で、チーム全体の明るく前向きな雰囲気を牽引している。もちろん彼自身も、地道に貪欲に今も成長を続けている。
ここまで紹介した3人に共通するのは“掘り出しもの”感の強い選手だということ。けっしてエリートコースを歩んできたわけではないが、須藤監督に持ち味をうまく生かされて潜在能力を大きく開花させつつある。磨けば光る“原石”が「まだまだこんなにいるんだ」と感じられることも、藤枝を応援する楽しみのひとつだ。
藤枝出身の選手としては、2019年に横浜FMのJ1制覇に貢献し、優秀選手賞を受賞したGK朴一圭(2014~15年)が“成り上がり”の代表格。上記の3選手以外にも、朴に続くスター候補が出てくる可能性は十分にある。そんな夢を見ながら原石たちの成長やサクセスストーリーを見守っていくというのも、J3を観る醍醐味と言えるだろう。
もちろん、その他にも紹介したい原石や実力者はたくさんいるのだが、長くなってしまうので今回はここまで。続編は次回以降に持ち越したいので、お楽しみに。
Reported by 前島芳雄
前回の取材ノートでは、須藤MYFCの魅力を紹介したが、今回はそのサッカーを実際にピッチで表現している個性豊かな選手たちを紹介したい。
まず筆者的にイチ推しなのは、シャドーの横山暁之と右ウィングバックの久保藤次郎だ。結果という意味でも、ここまで横山がチームトップの11得点(J3得点ランク4位)、久保がチーム2位の9得点(同7位タイ)。2人ともアシストやチャンスメイクも多く、超攻撃的サッカーを牽引している選手たちだ。
東京Vユースの出身の横山暁之は、テクニシャン揃いの藤枝の中でも足下の技術が際立っているが、北陸大学時代はそれほど注目された存在ではなく、4年時の大ケガもあってプロに入りは叶わなかった。だが、夢をあきらめずに母校でトレーニングを続け、1年間の浪人生活を経て2020年に藤枝に加入。1年目はフィジカル面の不安もあって公式戦の出場はなかったが、2年目(昨年)は須藤大輔監督が就任してから持ち前のテクニックが高く評価され、須藤体制初戦(8/28富山戦)に先発起用されてJ初出場。主軸の1人となるだけの力を発揮したが、ケガが多く出場は6試合に留まった。
だが、自ら地道な肉体改造を続けてケガも減り、今季は2シャドーの一角としてチームの軸に成長。課題だったゴールに絡むプレーも増やして、今やJ3トップクラスのアタッカーとして注目度はグングンと上がっている。無名の存在から浪人生活を経て自力で這い上がってきたという意味でもJ3ならではの選手であり、上のカテゴリーに上がったときにどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、想像するだけでワクワクしてくる。
久保藤次郎は、今年中京大から加入したルーキーだが、昨年から特別指定選手として6試合出場/2得点と鮮烈な働きを見せていた。当然今季は即戦力として期待されたが、その期待以上のプレーを続けている。
久保の武器は、スピードを生かした突破力と運動量。右サイドで活発な上下動を繰り返しながら守備でも献身的にポジションをとり、攻撃では裏に抜け出して鋭いクロスからゴールを演出。それだけでなく自らゴール前に入っていって得点も量産している。そこで光るのが、シュートの冷静さや精度が日に日に向上していることだ。
「大学のときは数打って決めるタイプでしたが、プロになってからシュート練習を増やしていて、その成果が出ているのかなと感じます。それとゴール前に入っていくことをつねに意識してるので、そこは意識したもの勝ちみたいな感じですかね」と久保自身は語る。
中学時代は名古屋のアカデミーに在籍し、ユースには上がれなかった選手だが、真面目で謙虚な姿勢がここまでの成長を促してきた。もちろん、まだまだ伸びしろはたっぷりと残しており、イケメンとしても推したい選手だ。
今季はキャプテンに抜擢された杉田真彦も、横山と同様に雑草系の成長株だ。地元の静岡西高校(サッカーでは中堅校)から順天堂大学に進み、2018年の卒業と同時にソニー仙台に加入。2年目で11得点を決めてJFLベストイレブンに選出され、2020年の藤枝入りをつかんだ。
プロ1年目は9試合に出場したが、先発は1回だけでトータルの出場時間は164分。だが、2年目は1列下がってボランチでの起用が増え、運動量や攻守における球際の強さといった持ち味を発揮して28試合に出場。今季は須藤監督にキャプテンを任され、開幕当初はケガで出遅れたものの復帰後は2シャドーの軸となり、幅広く動いてチャンスに絡み、前線からのタフな守備でもチーム戦術を支えている。無尽蔵と言えるほどのスタミナも持ち味で、終盤はボランチに下がって試合を締めくくることも多い。
明るい性格も魅力のひとつで、加入当初はすべり芸も存分に発揮。練習を見ていても本当に楽しそうにサッカーをしているのが印象的で、チーム全体の明るく前向きな雰囲気を牽引している。もちろん彼自身も、地道に貪欲に今も成長を続けている。
ここまで紹介した3人に共通するのは“掘り出しもの”感の強い選手だということ。けっしてエリートコースを歩んできたわけではないが、須藤監督に持ち味をうまく生かされて潜在能力を大きく開花させつつある。磨けば光る“原石”が「まだまだこんなにいるんだ」と感じられることも、藤枝を応援する楽しみのひとつだ。
藤枝出身の選手としては、2019年に横浜FMのJ1制覇に貢献し、優秀選手賞を受賞したGK朴一圭(2014~15年)が“成り上がり”の代表格。上記の3選手以外にも、朴に続くスター候補が出てくる可能性は十分にある。そんな夢を見ながら原石たちの成長やサクセスストーリーを見守っていくというのも、J3を観る醍醐味と言えるだろう。
もちろん、その他にも紹介したい原石や実力者はたくさんいるのだが、長くなってしまうので今回はここまで。続編は次回以降に持ち越したいので、お楽しみに。
Reported by 前島芳雄