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【取材ノート:大宮】躍動するプロ1年目の生え抜き――山﨑倫のプロ初ゴールが、チームを救う

2022年9月29日(木)


大宮の左サイドで、若きアタッカーが奮闘している。今季、アカデミーからトップ昇格を果たした山﨑倫だ。

明治安田J2第32節、ホーム町田戦で後半29分に途中出場し念願のプロデビューを果たすと、すぐに大きなチャンスが訪れた。明治安田J2第36節大分戦、コンディション面から戦列を離れた矢島慎也に代わり、左サイドハーフの先発メンバーとして白羽の矢が立ったのだ。

相馬直樹監督は、「スピード、出たり戻ったりと1回で終わらずに連続でプレーできるところ、加えてボールを収めたり、仕掛けたりということができる選手」と抜擢の理由を挙げた。「最初の30分ぐらいはボールにノータッチだったんじゃないか、ぐらいの感じ」(相馬監督)だったが、徐々に試合に馴染むと、少しずつ持ち味を見せていった。



続く第37節栃木戦では、3得点すべてに絡む活躍を見せた。第38節新潟戦は惜敗したが、3試合連続して先発出場を果たし、そのポジションを物にしつつある。


そこには、小野雅史のサポートによる左サイドの連係の高まりが大きいと言う。

「(小野が)守備の面ではっきり言ってくれるのでありがたいですね。逆サイドからボールが来る時にもう少し準備しておけとか、頭を止めるな、とかは言われます。でも、のびのびプレーさせてくれているので、やりやすいですし、そこは本当にありがたいです。うまくコミュニケーションも取れているので、あとは自分がもう少しサポートできたらなというのがあります。雅史くんに助けられている部分が多くて、自分から守備の面で発信していくことをもっとやっていきたいです」



周囲のサポートもあり、左サイドを確固たる自分の物としつつある山﨑だが、実は心配事もある。現ポジションの前任者、矢島慎の復帰だ。すでに全体メニューにも戻っており、コンディション調整は十分のようだ。

「ちょっと怖いですね(笑)。そういう(奪われる)危機感が出てきました。でも、少しでも気を抜いたらスタメンを取られちゃうというのは、本当に毎日刺激になっているし、そこをうまく楽しめてます。今までは慎也くんには勝てないだろう、という思いもあったんですけど、試合を経験してみて、もしかしたらという感触もあるので、そこはうまく競争しながら切磋琢磨できればと思います。いいものはどんどん吸収して、自分のできるものは全力で出して、それでスタメンが取れなかったらしょうがないと思うんで」

さあ、次は順位が1つ下の群馬戦。大一番である。

「残留するかしないかというところで出させてもらっていて、すごく緊張感があるし、とてもいい経験ができていると思っています。(群馬戦は)自分たちがやるべきことをやれば勝てると思うので、そこを意識して、個人的にもいい結果を出せるように頑張りたいです」



群馬戦や、それ以降の試合で山﨑が先発メンバーになるかどうかはまったくわからない。だが、それぞれが得た機会で貢献することを求められるのがチームというものだ。そこで、自身が切望する個人的な結果――得点を決めることができれば、チームにも自身にとっても、きっと大きなものになるはずだ。試合後はいつもミックスゾーンで「点、取りたいです」と言っていた山﨑だが、次こそ笑顔で「取りました!」とプロ初ゴールを報告してくれることを期待したい。

Reported by 土地将靖