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【取材ノート:長野】アカデミーから3人目の昇格。鈴木悠太は偉大な“カピタン”に憧れる

2022年9月18日(日)


AC長野パルセイロは9月17日、U-18に所属するDF鈴木悠太が来季からトップチームに昇格することを発表した。長野県長野市出身で、クラブにはU-15から在籍。小西陽向、山中麗央に続き、3人目のアカデミー出身選手となる。

トップチームには昨季から継続して練習参加していた。179cmとセンターバックとしては小柄だが、ビルドアップや対人能力に優れ、両サイドバックもこなすユーティリティプレーヤーでもある。「プレースピードやフィジカルの差は大きい」と戸惑いながらも、周囲のサポートを得ながら着々と実力を伸ばした。

その中で感銘を受けた選手として、ボランチ・宮阪政樹の名を挙げる。「視野の広さやサッカーIQの高さがあって、プレー中に考えていることも全然違う。いろいろな選択肢を持ってプレーしている」。鈴木にとっては15歳上の大先輩だが、実際に会話をした中での発見もあったという。

センターバックとして憧れる選手は、元スペイン代表のカルレス プジョルだ。名門・バルセロナで19年プレーし、クラブの黄金期を支えた偉大な“カピタン(スペイン語で主将)”。鈴木と同様、178cmと小柄なセンターバックだったが、「ビルドアップの上手さや対人の強さがあった」。また、両サイドバックをこなせるという共通項もある。

身近にも大きな存在がいた。今夏ベルギー1部のコルトレイクに加入した田中聡は、長野FCガーフ時代の先輩。同チームに所属していた兄・怜と田中の仲が良く、自宅に迎える機会もあったという。長野市出身の同郷が世界に羽ばたいたことは、大きな刺激となっているはずだ。

高校2年時の昨季は、U-18で副主将を務めた。3年時の今季は、クラブのレジェンド・宇野沢祐次監督から指名を受け、主将に就任。温厚な性格の持ち主だが、最終ラインからチームを鼓舞する姿が多々見られる。

晴れて9月17日にトップチームへの昇格が発表されたが、この日は苦い思いも味わった。U-18長野県リーグ1部のラスト2試合目が行われ、勝点3差で追う首位・松本国際と直接対決。1―4と大敗し、目の前で優勝を決められた。「自分のクリアミスから失点もあったし、もっとできることはあったと思う」。

その悔しさを噛み締めながら、昇格できなかった選手の想いも背負い、来季からプロの舞台で戦う。「小さい頃からの夢を叶えられたのは嬉しいが、まだまだプレーが雑だし、選手として未熟さがある。プロに入っても満足せず、もっとレベルアップしてチームに貢献できるようになりたい」。放たれる言葉の節々に、“カピタン”らしい責任感の強さが感じられた。

Reported by 田中紘夢