6月にゼ リカルド体制となってから着実に立て直しが進んできた清水。とくに得点ランク首位タイまで上がってきたチアゴ サンタナをはじめ、乾貴士、カルリーニョス ジュニオ、ヤゴ ピカチュウ、北川航也といった錚々たる顔ぶれが揃う攻撃陣は、リーグ内でも注目の存在となっている。
ただ、清水の自慢はそれだけではない。左右両方のサイドバックにハイレベルな選手が揃っていることも、大きなアドバンテージのひとつだ。
8月の取材ノートで紹介した右SBの原輝綺は、「強いチームにはかならず良いサイドバックがいるし、そういう選手、チームを目指していきたい」と語っていた。清水が強豪チームの一角に食い込んでいくためには、3人のサイドバックの存在も大きな原動力となっていくはずだ。
そう、2人ではなく3人だ。
原と左の山原怜音だけでなく、GK以外ならどのポジションもこなせる片山瑛一も、チームにとって非常に大きな存在となっている。
昨年は、右SBが原、左SBが片山という形が基本線で、今季も開幕当初はその形でスタートした。だが、大卒ルーキー山原が徐々にプロの水に慣れて台頭し、4月からは左SBの主軸の座をつかんでいった。
片山としては定位置を奪われた形だが、左右のサイドハーフとしても高いパフォーマンスを見せる彼は出番を減らすことなく、原や山原が欠場した際には左右のサイドバックで遜色ないプレーを見せてきた。結果的に28節を終えた時点で出場停止の浦和戦を除く全27試合に出場し、出場時間はフィールドプレイヤーの中では鈴木義宜、白崎凌兵、山原に次ぐ4番目。ある意味、驚くべき数字と言える。
もちろん、先発を外される試合もあることは、選手としては悔しいだろう。だが、それで腐るようなことは、彼に関しては絶対にないと断言できる。
「もちろんスタメンで出たいという気持ちはすごく強いですけど、僕はチームの力になるということが大前提だと思っているので、自分に与えられた場所と与えられたチャンスで、いかに自分がチームのためになれるかというところをいつも考えています。良い競争をした中で、勝つための組織として戦うということがすごく大事だと思うので。そこはブレることなく、全てチームのためにというところを意識してやっているだけですね」と片山はさらりと語る。
埼玉県立の進学校(川越高校)から学力で早稲田大に入学し、セレクションを受けてア式蹴球部に入部。まったく無名の存在から自力で這い上がってプロ入りをつかんだ片山の成長過程には、クレバーさと徹底したフォア・ザ・チームの姿勢が大きな役割を果たしてきたことは間違いないだろう。
戦術理解や状況判断の確かさ、身体能力や走力の高さ、ポジショニングや動き出しの良さなど多くの特徴を備えているが、彼自身は自分の持ち味について次のように語る。
「周りの選手に伸び伸びとやってもらえるように動くことが、自分の持ち味だと思っています。無駄になってもいいから僕が走ることで、周りの人が生き生きとやってくれれば、自分も生きていると感じられるので。誰と出ても、どこで出ても、自分の良さを出しながら周りの人の良さを引き出していけるように、これからもプレることなくずっとやっていきたいです」(片山)
山原の欠場によって左SBで出場した27節・京都戦では、FW顔負けの裏への動き出しで起点を作り、同時にDFを引きつけて乾貴士が走り込むスペースを作って、決勝点(乾の移籍後初ゴール)を演出した。
「裏に抜けることや起点を作るというのは、得意な動きのひとつだと思います。元々はFWでプロの世界に入って、裏抜けはけっこう好きなので(笑)」(片山)
もちろん守備でも完封勝利に貢献し、続く広島戦では、山原が復帰したにも関わらず先発の座を譲らなかった。
どのポジションを任せても、チームのために献身的に走ることを最優先しながら安定してハイレベルなパフォーマンスを見せてくれる。誰かがケガや出場停止になっても、彼がいればバックアップに不安を持たずに済む。監督にとってこれほどありがたい選手はめったにいない。
ただ、片山本人には“犠牲心”というものは存在しない。自分自身をより生かす道を探すことに喜びを見出し、とくにサイドバックという仕事には大きな可能性を感じている。
「サイドバックの重要性というのは(近年)すごく高まっていると思います。守れればいいとか攻めれればいいというポジションではなくなってきて、大変さや難しさはすごくあるけど、それがやりがいというか、自分の能力や可能性をすごく広げてくれるポジションだと思っています。そこにチャレンジしていく楽しみというのは、今年31歳になりますが変わらないですし、もっともっとうまくなれる、成長していけると思って、日々の練習からチャレンジしているところです」(片山)
まだまだ成長過程の30歳。選手としてより高みを目指すことを楽しみつつ、チームへの貢献度もさらに高めていってくれることだろう。
Reported by 前島芳雄
ただ、清水の自慢はそれだけではない。左右両方のサイドバックにハイレベルな選手が揃っていることも、大きなアドバンテージのひとつだ。
8月の取材ノートで紹介した右SBの原輝綺は、「強いチームにはかならず良いサイドバックがいるし、そういう選手、チームを目指していきたい」と語っていた。清水が強豪チームの一角に食い込んでいくためには、3人のサイドバックの存在も大きな原動力となっていくはずだ。
そう、2人ではなく3人だ。
原と左の山原怜音だけでなく、GK以外ならどのポジションもこなせる片山瑛一も、チームにとって非常に大きな存在となっている。
昨年は、右SBが原、左SBが片山という形が基本線で、今季も開幕当初はその形でスタートした。だが、大卒ルーキー山原が徐々にプロの水に慣れて台頭し、4月からは左SBの主軸の座をつかんでいった。
片山としては定位置を奪われた形だが、左右のサイドハーフとしても高いパフォーマンスを見せる彼は出番を減らすことなく、原や山原が欠場した際には左右のサイドバックで遜色ないプレーを見せてきた。結果的に28節を終えた時点で出場停止の浦和戦を除く全27試合に出場し、出場時間はフィールドプレイヤーの中では鈴木義宜、白崎凌兵、山原に次ぐ4番目。ある意味、驚くべき数字と言える。
もちろん、先発を外される試合もあることは、選手としては悔しいだろう。だが、それで腐るようなことは、彼に関しては絶対にないと断言できる。
「もちろんスタメンで出たいという気持ちはすごく強いですけど、僕はチームの力になるということが大前提だと思っているので、自分に与えられた場所と与えられたチャンスで、いかに自分がチームのためになれるかというところをいつも考えています。良い競争をした中で、勝つための組織として戦うということがすごく大事だと思うので。そこはブレることなく、全てチームのためにというところを意識してやっているだけですね」と片山はさらりと語る。
埼玉県立の進学校(川越高校)から学力で早稲田大に入学し、セレクションを受けてア式蹴球部に入部。まったく無名の存在から自力で這い上がってプロ入りをつかんだ片山の成長過程には、クレバーさと徹底したフォア・ザ・チームの姿勢が大きな役割を果たしてきたことは間違いないだろう。
戦術理解や状況判断の確かさ、身体能力や走力の高さ、ポジショニングや動き出しの良さなど多くの特徴を備えているが、彼自身は自分の持ち味について次のように語る。
「周りの選手に伸び伸びとやってもらえるように動くことが、自分の持ち味だと思っています。無駄になってもいいから僕が走ることで、周りの人が生き生きとやってくれれば、自分も生きていると感じられるので。誰と出ても、どこで出ても、自分の良さを出しながら周りの人の良さを引き出していけるように、これからもプレることなくずっとやっていきたいです」(片山)
山原の欠場によって左SBで出場した27節・京都戦では、FW顔負けの裏への動き出しで起点を作り、同時にDFを引きつけて乾貴士が走り込むスペースを作って、決勝点(乾の移籍後初ゴール)を演出した。
「裏に抜けることや起点を作るというのは、得意な動きのひとつだと思います。元々はFWでプロの世界に入って、裏抜けはけっこう好きなので(笑)」(片山)
もちろん守備でも完封勝利に貢献し、続く広島戦では、山原が復帰したにも関わらず先発の座を譲らなかった。
どのポジションを任せても、チームのために献身的に走ることを最優先しながら安定してハイレベルなパフォーマンスを見せてくれる。誰かがケガや出場停止になっても、彼がいればバックアップに不安を持たずに済む。監督にとってこれほどありがたい選手はめったにいない。
ただ、片山本人には“犠牲心”というものは存在しない。自分自身をより生かす道を探すことに喜びを見出し、とくにサイドバックという仕事には大きな可能性を感じている。
「サイドバックの重要性というのは(近年)すごく高まっていると思います。守れればいいとか攻めれればいいというポジションではなくなってきて、大変さや難しさはすごくあるけど、それがやりがいというか、自分の能力や可能性をすごく広げてくれるポジションだと思っています。そこにチャレンジしていく楽しみというのは、今年31歳になりますが変わらないですし、もっともっとうまくなれる、成長していけると思って、日々の練習からチャレンジしているところです」(片山)
まだまだ成長過程の30歳。選手としてより高みを目指すことを楽しみつつ、チームへの貢献度もさらに高めていってくれることだろう。
Reported by 前島芳雄