Js LINK - Japan Sports LINK

Js LINKニュース

【取材ノート:大宮】3ヶ月半ぶりの一発。眠りから覚めたエース・河田篤秀がチームを救う

2022年8月25日(木)


皆が待ち望んでいた、エースのゴールだった。


J2第31節、アウェイでの仙台戦。前節に首位横浜FCを破った勢いそのままに、11分にセットプレーから先制。するとそのわずか1分後、矢島慎也のクロスを河田篤秀が頭で叩き込む。チームを勢いに乗せる得点は、河田自身にとって第13節金沢戦以来、実に18試合ぶり、約3ヶ月半ぶりのゴールだった。相馬直樹監督体制となってからは初のゴールにも、「ずっと取ってなかったんで、そうなりますね。まあ、特に何もないっす」と笑った。

何もないわけがない。

相馬体制下ではベンチスタートも少なくなく、そのまま起用なく試合を終えたこともあった。チームスタイルの変化に、求められるプレーも変わる。もがいた。



「攻撃の時に、ゴール前に走るというよりはサイドでまず起点を作るとか、相手を下げるためにボールは出なくても背後に走るとか、そういう無駄に見えるような動きを求められることが多い」

第28節秋田戦では、勝利を決めるはずのPKを託されたが失敗。プロでは初というPK失敗に、試合後は「自分にがっかりしている。けっこうショック」と心中を明かしながら、しかし、それでもしっかりと前を見据えていた。

「あんまりマイナスに考えても仕方ない。明らかな自分のミスであればしっかり考えて向き合う必要がありますけど、どうしようもないところを考えて他の質が落ちるなら、次の試合へのモチベーションが下がるくらいなら、気にせず毎試合一番いいパフォーマンスでできるように、というのは心がけてます」



前が悪かったから次こそ、ではない。前が良かったから次も、ではない。1試合1試合、ワンプレーワンプレーで常にベストを目指す。そうした中で生まれた久々のゴールだった。

自身の得点の後には、的確な判断から矢島慎也のゴールをアシストした。このゴールが、河田自身のプレーにも、チームにも変化をもたらすだろう。エースに寄せる周囲の期待も当然大きくなるはずだ。


「周りからすれば俺が取ったらもっと(ボールを)集めたくなると思う。この1点じゃ当然足りないですけど、もっとどんどん取れるチャンスが出てくると思う」

背番号10が躍動する。その先に、果たすべき未来が見えてくる。

Reported by 土地将靖