実に、約1年半ぶりのゴールだった。
首位を走る横浜FCを相手に、それでも負けられない戦いとなった明治安田J2第30節。立ち上がりの3分、左サイド矢島慎也からのクロスに大外で柴山昌也が飛び込んでいく、左足で巧みに合わせると、そのままボールはゴールに吸い込まれていった。プロデビュー戦となった昨年J2開幕戦のアウェイ水戸戦で決めたプロ初ゴール以来のキャリア2点目。追いつかれた後の後半立ち上がりには、左サイドをえぐった奥抜侃志のパスを呼び込むようにゴール前に入り、やはり左足で合わせた。プロ2点目の難産が嘘のように、いとも簡単にマルチゴールを決めた。
「ワンタッチで前に入っていくとか、そういう感覚が今まではそんなになくて。自分で右サイドからカットインして決めるとか、そういうきれいなゴールに対しての思いが強かったですね。1点は1点だ、ゴール前に入っていけと今年になってたくさんの人に言われて、それを意識して臨みました」
これまでもチャンスがなかったわけではない。だが、決まらない。そうした悪循環が、心理的に嫌なものをよぎらせた。
「今まではゴールが取れなくて焦って、シュートを打つ時に変なことを思い出したり、ミスが怖くなったりというのがありました」
それが、この横浜FC戦ではなかったと言う。2点とも決して簡単なシュートではなかったが、リラックスして当てるだけでいいと、きれいに流し込むことができた。
「ゴール前に入っていくことが本当に大切だなと思いました。落ち着いて流し込むだけだなと、難しいことは要らないなと思いました」
「2ケタ狙います」と軽口も飛び出したが、得点感覚をつかめた実感もあると言う。得点力不足に悩むチームにあって、アタッカーの決定力向上は何より頼もしい。J2残留への鍵になるべく、生え抜きの若武者が巻き返しを誓った。
Reported by 土地将靖