この夏、FC今治の一員となり、ホームデビュー戦となった明治安田生命J3リーグ第17節のY.S.C.C.横浜戦(○5-2)。MF三門雄大は、7月17日から8月6日に延期されたゲームでボランチとして先発すると、フル出場を果たし、大勝したチームを攻守で支えた。
「(夏の)16時キックオフのゲームは初めてで、暑いし、大変でした。でも前回はアウェイだったので、こうしてホームで、今治のサポーターの皆さんの前でプレーできる喜び、楽しさを感じることができました」
無尽蔵とも思える運動量を武器に、長らくJリーグで戦ってきたベテランは、笑顔で振り返った。
J2の大宮アルディージャで今季はリーグ戦13試合出場にとどまっていたとはいえ、キャプテンでもあった35歳の三門が、シーズン途中に下位カテゴリーの今治に完全移籍したことは一つの驚きだった。だが、自身はいささかもブレることなく、信念を持って新たなチャレンジに臨む。
「ウインドーが開いて、今治からはすぐにお話をいただきました。決断するまでに少し時間がかかりましたが、自分はまだまだ走れるし、やれると思っているので。この先、昇格争いを考えると、正念場が来る。そこで経験を生かしつつ、チームの力になれれば。自分自身、若い選手たちとサッカーをして、競争に勝ってピッチに立ちたいですし、そればかりにならず、いろいろ伝えていきたいですね」
後半途中出場した1週間前のアウェイ、福島ユナイテッドFC戦(第19節△1-1)では、チームに合流し、わずか3日練習しただけだった。それでも、持ち味である果敢にボールを奪いに行く姿勢を随所に示し、さらにボールを受けると状況を落ち着かせて、巧みに配球してみせた。
両チーム合わせて7ゴールが決まる激しい試合となったYS横浜戦では、フルタイム出場することによって、チームがさらに向上するポイントをつかむことができた。
「結果的に5点取れましたが、前半は1-0で、その中でもう少しボールをうまく動かしたかったところがあります。動かすときの『間』というか。自分が相手を引きつけるのがいいのか、それとも早くパスする方がいいのか。そこを間違えると、次の選手がはまってしまうときがありました。
あとはサイドを変えるのであれば、もっとテンポよくしないと。ボールを受けて、出しどころを探して、受けて、探して…というのが、今治の良くないリズムだと思う。センターバック、ボランチのところで間違えちゃうと、相手のプレッシャーをまともに受けてしまいます。そこは次のゲームに向けて、意識して取り組んでいきたいです」
シーズンここまで、決定力はチームの課題だった。三門が挙げるポイントの改善は、決定機の増加、引いてはゴール量産につなげられるはずだ。
延期されていたYS横浜戦に大勝し、19試合を終えて、チームは8位に就けている。J2昇格圏内である2位、藤枝MYFCとの勝点差は6。自身もチームも、もっともっとできる。それを証明するために、三門は走り続ける。
Reported by 大中祐二