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【取材ノート:大宮】10年目のいぶし銀がプロ初のマルチゴール。富山貴光が新エースへ名乗り

2022年7月14日(木)


相馬直樹監督に交代後も、なかなか勝点が伸びない大宮。特に攻撃力アップへ向けて腐心している様子で、中でも2トップはリーグ戦8試合で5パターンの組み合わせとなった。その中で光明を見せたのが、明治安田J2第26節東京V戦での富山貴光と菊地俊介の組み合わせではないだろうか。天皇杯2回戦の琉球戦以来となる組み合わせは、豊富な運動量で献身的にチームを牽引、特に相馬体制でリーグ戦初先発となった富山貴光の得点力が光った。

東京Vに先制を許し折り返した後の50分。栗本広輝が左サイドを破りクロスを送ると、最前線へ走り込んだ富山は右足アウトサイドで巧みに合わせた。


「クリ(栗本)とはクロスが上がる前に目が合って、ここしかないというところに上げてくれた。合わせるだけでした」

右足アウトサイドの選択は、感覚的なものだと言う。いわゆる“ゾーン”に入っていた。

「たまにあるんですけど、ちょっとゆっくりになった瞬間というか、これぐらいの感覚で当てれば入るだろうなと、冷静にボールが見えました。うまく体の動きと一致しました」

65分には、逆転となるヘディングシュートをコーナーキックから決める。


「前日にセットプレーで練習していた通りのことが本当に起きました。練習の賜物だと思います」

意外にもプロでは初のマルチゴールで、チームの連敗ストップに多大な貢献を見せたものの、その喜びよりも、やはりあと一歩で勝点3を逃した悔しさが先に立つ。特にストライカーとしては試合立ち上がりの5分、貫真郷の縦パスに抜け相手GKと1対1になった場面で、決めきれなかったことを悔いた。



「あそこで決めきれていれば3-2で勝てたということだし、そこで決めきれないのが今の自分の実力だと思うので、自分に矢印を向けてしっかりやっていかないといけない」

もっとも、わずかにオフサイドと判定されノーゴールとなった第24節岩手戦や、深く入り込んで左クロスを落とし菊地のゴールをアシストした第25節岡山戦など、個人としての好調さは見て取れる。今季ここまで4得点、昨年北九州で記録したシーズン7ゴールのキャリアハイ更新も、決して遠くない。



「チャンスを逃さず決めていくのが僕の仕事。まずは得点、アシストでチームを引っ張っていきたい」

プロ10年目の節目を迎えたベテランが、新エース候補へ名乗りを挙げる。


Reported by 土地将靖