7月2日(土)に行なわれた横浜FM戦は、2日後(7/4)に控えた清水エスパルスの30回目の誕生日に向けた記念試合。ホームゲームの舞台としてあえて静岡県外の国立競技場を選び、6万人の集客を目指して開催した。
その結果は、首位の横浜FMに3-5で敗れたものの、入場者数は56,131人を記録して目標の94%を達成。30年の歴史の中でホームゲーム最多入場者数を記録し、今季のJリーグでも最多となった。
試合前には、歴代のOB陣や著名人による祝福メッセージを披露し、ちびまる子ちゃん(作者のさくらももこさんが清水出身)が会場を盛り上げ、キックインは地元出身の歌手・久保田利伸氏と落語家・春風亭昇太氏の2人が担当。照明や花火も含めて演出も非常に華やかだった。約6万8千席あるスタンドをほぼ埋めた大観衆の中には新国立競技場を訪れるのが初めてという人が多く、特別な一戦、劇場性という意味でも足を運ぶ価値は十分にあった。
もちろん、これほどの舞台を整えられて、両チームの選手が燃えないはずはない。キックオフ直後からピッチ上の22人全員が熱い闘志をみなぎらせて躍動し、球際でも激しいバトルを繰り広げた。清水としてはミスからの失点が目立ったのが悔やまれるところだが、そこを見逃さずに仕留める横浜FMがさすが首位のチームとも言える。
ただ清水も、危惧されたほど横浜FMに押し込まれる展開にさせず、自分たちが攻め込むシーンも数多く作り、シュート12本(横浜FMは13本)で3得点。2-5になっても最後まであきらめない姿勢を見せ続け、終了間際に片山瑛一が3点目を決めたことによって、帰り道の清水サポーターの落胆もかなり軽減されたことだろう。
ゴールシーンだけでなく90分を通して高いパフォーマンスを見せ続けた片山は、次のように試合を振り返った。
「ピッチに入ったとき鳥肌が立つようなすごいな雰囲気でしたし、こんなに多くの方に見てもらえる機会はないと思ったので、本当に悔いのないように自分の持てるものを全て出そうという気持ちで入りました。(結果については)本当に実力不足だと思うので、自分たちの実力を上げていけるようにやっていくだけです」
ゼ リカルド監督も「こんな大観衆の中でプレーしたことがなかった選手もいるので、選手たちにも良い経験となり、これから成長していけると思っています」と言う。非常に注目度もテンションも高かった試合だからこそ、自分たちができること、足りないことを今まで以上に強く実感した選手は多かったはずだ。
そして、もうひとつ大きかったのは、Jリーグや清水エスパルスが持つ可能性を示せたことだろう。地方の1クラブがこれほど多くの観客を集め、エンターテイメント性の高い試合を見せつけたこと。そこにはサッカー王国としての歴史や地盤も大きく影響しただろうが、運営サイドとしても大きな自信や経験を得て、他クラブに大きな刺激を与えたことは間違いない。
今回の大胆な挑戦を主導したのは、プロ野球の千葉ロッテマリーンズを見事に立て直した実績を持つ山室晋也社長に他ならない。試合前の時点で、山室社長はこう語っていた。
「この30周年事業に向けて、クラブのみんなが同じ方向を向いて成功させようというエネルギーをすごく出してくれています。非常にチャレンジングな試みですが、これを成功させればすごく大きな自信になると思うんですよ。ロッテのときも初めて東京ドームで試合をして、みんなすごく自信がついて好循環になっていったので」
近年はさまざまな面で改革の必要性が内外から叫ばれ続けている清水エスパルス。エンターテイメントビジネスの面では着実に改革が動き始めている。それと並行する両輪として欠かせないのは、もちろんチームの強化だ。ゼ リカルド体制は始まったばかりで未知数の部分が多いが、現場サイドがビジネスサイドに遅れをとらないことを願うばかりだ。
Reported by 前島芳雄
その結果は、首位の横浜FMに3-5で敗れたものの、入場者数は56,131人を記録して目標の94%を達成。30年の歴史の中でホームゲーム最多入場者数を記録し、今季のJリーグでも最多となった。
試合前には、歴代のOB陣や著名人による祝福メッセージを披露し、ちびまる子ちゃん(作者のさくらももこさんが清水出身)が会場を盛り上げ、キックインは地元出身の歌手・久保田利伸氏と落語家・春風亭昇太氏の2人が担当。照明や花火も含めて演出も非常に華やかだった。約6万8千席あるスタンドをほぼ埋めた大観衆の中には新国立競技場を訪れるのが初めてという人が多く、特別な一戦、劇場性という意味でも足を運ぶ価値は十分にあった。
もちろん、これほどの舞台を整えられて、両チームの選手が燃えないはずはない。キックオフ直後からピッチ上の22人全員が熱い闘志をみなぎらせて躍動し、球際でも激しいバトルを繰り広げた。清水としてはミスからの失点が目立ったのが悔やまれるところだが、そこを見逃さずに仕留める横浜FMがさすが首位のチームとも言える。
ただ清水も、危惧されたほど横浜FMに押し込まれる展開にさせず、自分たちが攻め込むシーンも数多く作り、シュート12本(横浜FMは13本)で3得点。2-5になっても最後まであきらめない姿勢を見せ続け、終了間際に片山瑛一が3点目を決めたことによって、帰り道の清水サポーターの落胆もかなり軽減されたことだろう。
ゴールシーンだけでなく90分を通して高いパフォーマンスを見せ続けた片山は、次のように試合を振り返った。
「ピッチに入ったとき鳥肌が立つようなすごいな雰囲気でしたし、こんなに多くの方に見てもらえる機会はないと思ったので、本当に悔いのないように自分の持てるものを全て出そうという気持ちで入りました。(結果については)本当に実力不足だと思うので、自分たちの実力を上げていけるようにやっていくだけです」
ゼ リカルド監督も「こんな大観衆の中でプレーしたことがなかった選手もいるので、選手たちにも良い経験となり、これから成長していけると思っています」と言う。非常に注目度もテンションも高かった試合だからこそ、自分たちができること、足りないことを今まで以上に強く実感した選手は多かったはずだ。
そして、もうひとつ大きかったのは、Jリーグや清水エスパルスが持つ可能性を示せたことだろう。地方の1クラブがこれほど多くの観客を集め、エンターテイメント性の高い試合を見せつけたこと。そこにはサッカー王国としての歴史や地盤も大きく影響しただろうが、運営サイドとしても大きな自信や経験を得て、他クラブに大きな刺激を与えたことは間違いない。
今回の大胆な挑戦を主導したのは、プロ野球の千葉ロッテマリーンズを見事に立て直した実績を持つ山室晋也社長に他ならない。試合前の時点で、山室社長はこう語っていた。
「この30周年事業に向けて、クラブのみんなが同じ方向を向いて成功させようというエネルギーをすごく出してくれています。非常にチャレンジングな試みですが、これを成功させればすごく大きな自信になると思うんですよ。ロッテのときも初めて東京ドームで試合をして、みんなすごく自信がついて好循環になっていったので」
近年はさまざまな面で改革の必要性が内外から叫ばれ続けている清水エスパルス。エンターテイメントビジネスの面では着実に改革が動き始めている。それと並行する両輪として欠かせないのは、もちろんチームの強化だ。ゼ リカルド体制は始まったばかりで未知数の部分が多いが、現場サイドがビジネスサイドに遅れをとらないことを願うばかりだ。
Reported by 前島芳雄