地元ジョホールバルのジョホール・ダルル・タクジムのサポーターの大声援はやはり良いものだった。Jリーグから失われて久しい光景は、戻るべき場所をはっきりと示していた。
そのジョホールバルでのACLグループステージ6試合全てを取材したのは、フリーランスの僕一人だった。同じく通しで取材する予定だった記者はいたが、都合により急遽キャンセル。第4節からスポーツ紙の担当者が一人加わったが、それにしても少ない。それがサッカー人気の凋落傾向を示しているのか、いわゆるマスコミの資金力の低下傾向を示しているのか。それともその両方なのか。もしかしたらもっと大きな枠組みで、日本経済の衰退を示しているのかはわからないが、今回の川崎のACLの取材者の少なさは残念だった。
国内2連覇中の強豪クラブが初のアジアタイトルと国内3連覇。そしてJリーグ史上初のアジアと国内のダブルタイトルに挑む戦いだというのにだ。
いずれにしてもACLの取材者数とJリーグの凋落傾向とが関連付けられるのかの詳細な検討は専門家に委ねるとして、人気回復の一つの施策として声出し応援の復活は正しい方向性に思える。サポーターの声援は試合に臨場感を与え、来場者に印象的な経験を残す大きな要素の一つだからだ。ジョホールバルでそれを経験して確信を持てた。
サッカー人気に陰りがあることを自覚した上で、できる対策は打ってもらいたいと思う。今ならスマホとマイナンバーカードでワクチン接種証明書をアプリで携帯できるのだから、そうした仕組みを使えばいいと思う。それができない人は、別に救う仕組みを作ればいい。今なら抗原検査キットが安価に手に入る。各自持参した検査キットを使い、入場時に検査してもらえばいいだけの話だ。
都市伝説なのか事実なのか「順位をつけたらかわいそうだから、徒競走は手をつないでみんなで仲良く一緒にゴールしましょう」などという「結果の平等」があったと聞いたことがある。コロナにおいて、今まさに日本で行われているのは、デジタル化に馴染めない人たちと、ワクチンを接種できない人に合わせた悪平等に思える。
スマホが嫌いな人、マイナンバーカードを発行したくない人。ワクチン接種ができない人。それはそれで個人の意見だし尊重しよう。ただ彼らに基準を合わせていたら何も進まない。仕組みはあるのだから、それを使えばいいのではないか。
吉田麻也も苦言を呈していたが、「先進国日本」のデジタル化の遅れはシンガポールとマレーシアに渡航したことでかなり深刻な問題として体感している。帰国時にさらにうんざりさせられると聞いて、今から覚悟しているところだ。
Reported by 江藤高志
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