ジョホールバルで集中開催されているACLのグループステージを戦う川崎は、当地のビッグクラブ、ジョホール・ダルル・タクジム(JDT)と3節、4節と連続で対戦した。
ホームのJDTと引き分けた第3節の結果を受け、JDTサポーターは夢を見ていたものと思われる。第4節の試合当日、笑顔でスタジアムへと送り出してくれたホテルマンが、試合後にはしおれてしまっていて逆に申し訳なかった。彼らはアジア最強リーグの一つに数えられるJリーグを連覇中の王者を相手に、勝利出来るかもしれない、と考えていた。
そのJDTの夢を打ち砕いた川崎は、短期決戦の今回の大会方式を受け、分厚い選手層を準備し、その選手たちを上手くローテーションさせて使う指揮官の胆力で結果を残した。
特にJDTと対戦した第4節で2ゴールした小林悠は、今季Jリーグでは未だにノーゴール。鬼木達監督が自ら指揮を取り、センターフォワードではなく右ウィングとして、時間を限定して起用してきたその起用法がノーゴールの結果の要因になっているのだが、それにしても数字だけ見れば結果が出ていない選手を、絶対に勝点3が必要な大一番で、得点という結果が求められるセンターフォワードで起用するのだから、その胆力に驚嘆するしかなかった。そして鬼木監督の期待に応えた小林悠の底力にただただ敬服させられた。
川崎は2020年、21年と連覇した際の主力選手のうち、日本代表クラスの選手が4選手移籍してしまった。守田英正、田中碧、三笘薫、旗手怜央の4選手で、彼らの穴は普通に考えれば、チームが崩壊するレベルで大きいはずなのだが、その穴を不完全ではあるにせよ埋めつつあるのは、まさに鬼木監督のチームマネジメント能力のなせる技であろう。
そんなフロンターレは、いまだに過去2シーズンに示してきた圧倒的な強さは見せていないが、それでも負けないタフさは示している。圧倒的ではないにせよ、強さはある。そんなチームへの変貌を、ACLでも見せつけられているところだ。
Reported by 江藤高志
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