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【取材ノート:新潟】内容も、結果も。島田譲は徹底的にこだわる

2022年4月24日(日)
そのパスは明らかに強く、スピードがあるので、相手を揺さぶるジャブ的なものではなく、勝負を決めにいくパスだということがよく分かる。前節のファジアーノ岡山戦に続き、2試合続けて古巣対戦となったボランチのMF島田譲は、第11節V・ファーレン長崎戦で少なくとも2本の勝負の縦パスを出している。8分、FW谷口海斗へのパスと、52分、MF高木善朗へのパスである。

谷口へのパスは、攻撃参加する左サイドバックのDF堀米悠斗へと展開された。高木へのパスはトラップが乱れ、ボールは相手に渡ってしまったのだが、「パスを出す瞬間、ヨシ(高木)の後ろで動き出す海斗が見えて、どちらに出そうか迷ってしまった。それでヨシへのパスがわずかにずれた」と、島田は自分のミスだと振り返った。

3試合連続完封と、長崎は堅守を前面にビッグスワンに乗り込んできた。試合は立ち上がりから新潟がボールを握る展開に。それは、長崎が守備になるとコンパクトな4-4-2の陣形を素早く築いて、新潟を迎え撃つ態勢を整えたことも関係する。

ボールは握るものの、なかなかアタッキングサードを崩すところまでいけない。だからこそ、勝負の縦パスの重要性と必要性をより意識してプレーした。

「ボールを動かしながら長崎を揺さぶることが、相手のストレスになっているとゲーム中に感じることができた。揺さぶり、守備ブロックに隙間を空けるところまでは行けていたので、そこにしっかりパスを差し込んで通し切れたら、決定的なチャンスをもっと作れるはず」

縦パスだけが武器ではない。後半、長崎にワンチャンスを物にされて先制される嫌な展開となったが、失点から5分後の73分、右CKから左足でカーブをかけた鋭いボールを供給して、DF藤原奏哉の同点ゴールをアシスト。さらに76分、Jリーグ通算300試合出場の高木が今季初ゴールを決めて、チームはあざやかな逆転勝利を収めた。


「セットプレーの点がないチームは、なかなか上に行けない。『結局、セットプレーか』と思われるかもしれないが、そこまでにどういうゲームを作っているかが大事なところ。自分たちらしくサッカーをしていたから逆転できた。僕たちがCKで追いつき、相手にも最後にFKのチャンスがあったけれど守り切ったように、そこ(セットプレー)でゲームが決まることは多い。これからも集中してゲームに臨む」

結果を出すため徹底的に内容にこだわるボランチが、チームのクオリティーをさらに押し上げる。

Reported by 大中祐二