4分3敗、暫定16位。明治安田生命J1リーグ(J1リーグ)の優勝候補に挙げられたヴィッセル神戸の、これが現実である。開幕7試合で未勝利はクラブワースト記録。AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフでメルボルン ビクトリーFCに勝利していなければ、チーム崩壊の可能性もあった。上位陣と大きく水を開けられた今、目先の目標は4月16日から始まるACL本大会を勝ち抜くこと。週末のJ1リーグ第6節の京都サンガF.C.戦(4月2日)から3連戦は、今シーズンの運命を握るゲームになりそうだ。
開幕ダッシュの失敗を受けて三浦淳寛監督が解任された神戸は、今シーズンからヤングプレーヤーデベロップメントコーチに就任していたリュイス プラナグマ ラモスが後任監督として暫定的に指揮を執ることになった。スペイン・バルセロナ出身の41歳は、3月24日に行われたリモート取材で自らの指導者キャリアについてこう言及している。
「15・16歳の時、小さい子のチームで監督をして(指導する)楽しさを覚えた。18歳の時にはスペイン1部のエスパニョール(アカデミー)の監督の仕事をいただいた。過去にはマウリシオ ポチェッティーノ(パリ サンジェルマン)、マルセロ ビエルサ(前リーズ ユナイテッド)、エルネスト バルベルデ(元FCバルセロナ)らのもとで学び、自らのスタイルを築いてきた。日本ではFC今治を指揮してきた」
指導テーマは「インテンシティと競争心」。実際にどんなサッカーを展開するかは分からないが、スペイン人らしいパッションの持ち主であることは間違いなさそうだ。
■セットプレーからの失点と得点力不足を解消できるか
J1リーグ7試合で浮き彫りになった神戸の課題は主に2つ。1つはセットプレーからの失点だ。
ACLとの兼ね合いで前倒し開催となったJ1リーグ第9節(今シーズン2試合目)の浦和レッズ戦では、前半19分に左CKの流れから柴戸海に頭で合わされて逆転ゴールを許している。最終的に2-2に追いついたものの、この失点で試合が難しいものになった。
開幕4試合目のJ1リーグ第10節・横浜F・マリノス戦では前半38分に左CKから西村拓真にヘディングで先制点を決められ、翌節(J1リーグ第3節)のサンフレッチェ広島戦では後半37分に右サイドのFKから佐々木翔に同点ゴールを許し、続くJ1リーグ第4節の鹿島アントラーズ戦では左CKの流れから三竿健斗に先制ゴールを献上している。
J1リーグ7試合で神戸が喫した失点9つ。うち4つがセットプレー絡みの失点という現状を考えれば、明らかに課題の一つである。
もう一つが決定力不足だ。日本代表の大迫勇也、武藤嘉紀、ボージャン クルキッチ、リンコンといった豪華なFW陣を擁し、司令塔にはアンドレス イニエスタがいる。脇を固めるのは山口蛍、扇原貴宏、セルジ サンペール。個で局面を打開できるドリブラーの汰木康也、U-21日本代表の小田裕太郎、アカデミー育ちの佐々木大樹や中坂勇哉もいる。これだけのタレントを擁しながら、7試合で3得点は残念というほかない。ちなみに、同じACL出場組の川崎フロンターレと横浜FMは7試合で12得点、浦和は9得点を挙げている。セットプレーからの失点と決定力不足の解消が、リュイス新体制に課せられた最初のハードルになりそうだ。
とはいえ、武藤、サンペール、佐々木が長期離脱となり、大迫も3月下旬の代表活動を辞退している。MF橋本拳人(FCロストフ)が移籍加入(6月30日まで)したとはいえ、台所事情はなかなか厳しい。その難しさを肌で感じているのか、リュイス監督は京都戦について「(ACLプレーオフの)メルボルンV戦のような(ホームゲームの)雰囲気を作ってほしい」と神戸サポーターに訴えた。代表ウィーク明けの京都戦は、神戸にとって今後を左右する大一番になりそうだ。
Reported by 白井邦彦
開幕ダッシュの失敗を受けて三浦淳寛監督が解任された神戸は、今シーズンからヤングプレーヤーデベロップメントコーチに就任していたリュイス プラナグマ ラモスが後任監督として暫定的に指揮を執ることになった。スペイン・バルセロナ出身の41歳は、3月24日に行われたリモート取材で自らの指導者キャリアについてこう言及している。
「15・16歳の時、小さい子のチームで監督をして(指導する)楽しさを覚えた。18歳の時にはスペイン1部のエスパニョール(アカデミー)の監督の仕事をいただいた。過去にはマウリシオ ポチェッティーノ(パリ サンジェルマン)、マルセロ ビエルサ(前リーズ ユナイテッド)、エルネスト バルベルデ(元FCバルセロナ)らのもとで学び、自らのスタイルを築いてきた。日本ではFC今治を指揮してきた」
指導テーマは「インテンシティと競争心」。実際にどんなサッカーを展開するかは分からないが、スペイン人らしいパッションの持ち主であることは間違いなさそうだ。
■セットプレーからの失点と得点力不足を解消できるか
J1リーグ7試合で浮き彫りになった神戸の課題は主に2つ。1つはセットプレーからの失点だ。
ACLとの兼ね合いで前倒し開催となったJ1リーグ第9節(今シーズン2試合目)の浦和レッズ戦では、前半19分に左CKの流れから柴戸海に頭で合わされて逆転ゴールを許している。最終的に2-2に追いついたものの、この失点で試合が難しいものになった。
開幕4試合目のJ1リーグ第10節・横浜F・マリノス戦では前半38分に左CKから西村拓真にヘディングで先制点を決められ、翌節(J1リーグ第3節)のサンフレッチェ広島戦では後半37分に右サイドのFKから佐々木翔に同点ゴールを許し、続くJ1リーグ第4節の鹿島アントラーズ戦では左CKの流れから三竿健斗に先制ゴールを献上している。
J1リーグ7試合で神戸が喫した失点9つ。うち4つがセットプレー絡みの失点という現状を考えれば、明らかに課題の一つである。
もう一つが決定力不足だ。日本代表の大迫勇也、武藤嘉紀、ボージャン クルキッチ、リンコンといった豪華なFW陣を擁し、司令塔にはアンドレス イニエスタがいる。脇を固めるのは山口蛍、扇原貴宏、セルジ サンペール。個で局面を打開できるドリブラーの汰木康也、U-21日本代表の小田裕太郎、アカデミー育ちの佐々木大樹や中坂勇哉もいる。これだけのタレントを擁しながら、7試合で3得点は残念というほかない。ちなみに、同じACL出場組の川崎フロンターレと横浜FMは7試合で12得点、浦和は9得点を挙げている。セットプレーからの失点と決定力不足の解消が、リュイス新体制に課せられた最初のハードルになりそうだ。
とはいえ、武藤、サンペール、佐々木が長期離脱となり、大迫も3月下旬の代表活動を辞退している。MF橋本拳人(FCロストフ)が移籍加入(6月30日まで)したとはいえ、台所事情はなかなか厳しい。その難しさを肌で感じているのか、リュイス監督は京都戦について「(ACLプレーオフの)メルボルンV戦のような(ホームゲームの)雰囲気を作ってほしい」と神戸サポーターに訴えた。代表ウィーク明けの京都戦は、神戸にとって今後を左右する大一番になりそうだ。
Reported by 白井邦彦